【殺人容疑で再逮捕】《堺市63歳暴行死事件》「ヤクザやぞ俺は! 殺すぞ!」金髪両腕タトゥーの楠本大樹容疑者(32)が携帯ショップで行った“無茶苦茶な恫喝”【クレーム音声入手】

【殺人容疑で再逮捕】《堺市63歳暴行死事件》「お前、俺の女を連れ込んでるだろ!」金髪に両腕タトゥーの楠本大樹容疑者(32)が“全く無関係”の家に怒鳴りこんだ夜 から続く
2022年11月、大阪府堺市の集合住宅の一室で遺体で見つかった唐田健也さんに暴行を加えたとして逮捕されていた隣人の楠本大樹容疑者(32)。執拗な暴力で唐田さんを支配し、ついに殺害に至ったとして、大阪府警は1月26日に殺人の容疑で楠本容疑者を再逮捕した。
事件の発覚以前から目撃されていた、容疑者の粗暴な様子。唐田さんとの常軌を逸した関係。楠本容疑者の異常性を追った当時の記事を再公開する(初出:2023年1月9日。肩書き、年齢は当時のまま)。
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隣人は選ぶことができない。夜中にインターホンを鳴らして難癖をつけてきたり、大声で騒ぎ立てたりするなどハタ迷惑な行動をとって、警察が駆け付けることになったとしても、追い出すことまでは難しい。
隣人に暴行を加えていた容疑者
大阪府堺市の自宅で遺体で見つかった唐田健也さん(63)の生前に、繰り返し殴る蹴るなどの暴行を加えていたとして、大阪府警は4日、隣の部屋に住む楠本大樹容疑者(32)を暴行容疑で再逮捕した。発見された唐田さんの遺体は全身に殴られた痕があり、肋骨が何カ所も折れた状態だった。
当初から府警は唐田さんが何者かに殺害されたと断定し、殺人容疑で捜査を進めていた。楠本容疑者は唐田さんに生前繰り返し暴行を加えていたことから、府警は唐田さんの死に楠本容疑者が関わった可能性も視野に入れて、調べを進めている。
楠本容疑者はトラブルメーカーとして有名だったという。冒頭の隣人トラブルは楠本容疑者の近隣住民から寄せられたものだ。だが、迷惑していたのは隣人だけではないようだ。事件現場近辺の住民が話す。
「楠本容疑者は最寄り駅の居酒屋など様々な飲食店に出入りしていましたが、出禁になっている店が多々あるのです。無茶苦茶な内容のクレームや、横暴な態度をとっていたため、店側もみんなで『アイツはヤバい』と情報を共有していました。地元でもかなり疎まれた存在だったのは間違いありません。なかには客なのに、スナックのママに『お前出ていけ!』と難癖をつけることもあったと聞きました」
「出禁」の店は多数。ある携帯ショップでは…
これだけでもかなりの異常性が窺えるが、「本当に大変でした」と振り返るのは、元携帯ショップ店員の女性だ。実害を被ったのは数年前にさかのぼる。
「楠本は私が勤めていた携帯ショップの常連客でした。最初は『カメラの使い方を教えてくれ』などと、若いくせに初歩的なスマホの使い方をわざわざ店に来て聞きにきてたんです。それが段々と、インスタグラムやTikTokの使い方といった内容になっていき、さらには私たちも使い方がわからないようなマイナーなアプリの使い方まで『教えろ!』と言い始めたのです。ただ、ハッキリ言って業務範囲外なので、そう伝えると『ヤクザやぞ俺は!』『じゃあ今まで払った携帯代を返せ!』『殺すぞ!』などと店頭で怒鳴るようになっていきました。全く手がつけられませんでした」
やがて楠本容疑者は毎日店にやってくるようになり、多い時は1日に30件以上の電話を店にかけてくることもあったという。
女性に対しては威圧的な態度だった
「やぶへびになるのでこちらも対応してはいけないと思っていたのですが、全身にタトゥーを入れた男がずっと怒鳴り声をあげていると、つい怖くなり対応してしまって……。最悪でした。当時、店長は若い女性でしたし、スタッフも女性ばかり。男性スタッフがいる時もありましたが、男が対応する際には『兄ちゃん、ありがとう!』と女性とはガラっと態度を変えるんですよ」
対応に窮した店側が警察を呼ぶこともあったというが、本人は気にもかけず、翌日には素知らぬ顔で来店。「もう店に来ないでください」と“出禁”を通告しても、楠本容疑者は来店をやめる気配はない。
楠本容疑者がこの携帯ショップにかけてきた電話音声の記録が残っている。このやり取りの中で楠本容疑者は、今回の事件とは別の件で警察から事情聴取をされていると語り、携帯電話の基本料金などがかからないサービスを申し込みたいと伝えている。店舗側は諸々の条件から、楠本容疑者が同サービスへ加入できない旨を丁寧に説明している。
「すぐ折り返せよ!」
だが楠本容疑者は店の説明に耳を傾けようとはせず、「よう聞けよ、お前!」「わけわからんこと言ってくんなよ!」などと電話口で威嚇。「早く問い合わせて?」「できるかって聞いてんの」「すぐ折り返せよ!」などと客の立場を良いことに、言いたい放題に暴言を重ねていく。
元店員の女性は嘆息して続ける。
「このようなやり取りが毎日続いていました。楠本はいったい何様のつもりなのか、ずっと高圧的な態度なんです。あまりこういうことを言ってはいけないかもしれませんが、本当に頭のおかしい人でした。退職後の今も、顔も声も鮮明に覚えていて、夢に出ることもあるぐらい、強いトラウマになっています。楠本が逮捕されたニュースを見た時は本当にびっくりしましたし、鳥肌が止まりませんでした。ようやく安心して眠れそうです」
唐田さんだけではなく、隣人や店舗への迷惑行為も頻繁に繰り返していたという楠本容疑者。唐田さんの事件について、楠本容疑者は「私が本気で暴力をふるったことはありません」などと容疑を否認している。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))