29日午後2時半頃、長野県 小谷 (おたり)村の北アルプス白馬乗鞍岳天狗原の東側斜面(標高約2100メートル)で、「スキーをしている人が雪崩に巻き込まれたかもしれない」と県警大町署に通報があった。同署によると、整備されていない雪山を滑るバックカントリースキーをしていた5人が、雪崩に巻き込まれたとみられる。このうち男性2人が意識不明で、現場に取り残されている。
同署は悪天候などのため、29日は捜索せず、30日朝から捜索することを決めた。
同署の発表によると、現場の斜面では当時、アメリカ人やカナダ人など外国人の3グループ計13人が、スキー場のコース外を滑っていたとみられる。雪崩に巻き込まれなかった8人グループの1人が、宿泊先の従業員を通じて雪崩を目撃したと通報したという。
13人のうち11人は29日夜、近くの 栂池 (つがいけ)高原スキー場の麓に下山。男性1人が右肩を脱臼し、救急車で運ばれた。
気象庁によると、小谷村内に設置されたアメダスの観測地点では、27日夜に大雪警報が出され、一晩で約40センチのまとまった雪が降った。その後も断続的な降雪が予想されていたことから、古い積雪の上に降り積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」を警戒し、27日夕方になだれ注意報を発表。事故当時も継続中だった。
長野県内では28日にも、野沢温泉スキー場(野沢温泉村)近くの山林で雪崩が発生し、管理区域外の雪山をスノーボードで滑っていた新潟県魚沼市の男性(38)が行方不明となった。また、同スキー場では同日、立ち入り禁止区域の山林で奈良県大和郡山市の男性(52)が雪に埋もれて見つかり、死亡が確認された。
群馬県みなかみ町でも29日、谷川岳・田尻尾根付近で雪崩が起き、スノーボードをしていた同県安中市の男性(46)が巻き込まれ、死亡が確認された。
◆バックカントリースキー=スキー場のコースではなく、圧雪されていない自然の雪上を滑るスキー。板幅が広く、滑走性を高めた「ファットスキー」など専用の道具を使うこともある。2000年代以降、ファンが増えているが、遭難などの事故も相次いでいる。