【マニラ=森浩】全国で相次いで発生している強盗事件を巡り、犯行の指示役とされる日本人特殊詐欺グループ4人=フィリピンの入管施設で拘束中=のうち1人が、施設内でスマートフォンを6台所有していたことが31日、フィリピン司法省への取材で分かった。複数の通信機器を駆使し、日本へ犯行指示を出していた可能性を裏付けているといえそうだ。
司法省によると、4人が拘束されている首都マニラ近郊の入管施設「ビクタン収容所」では、31日未明から多くの職員が動員され、禁止物が持ち込まれていないか検査が行われた。グループのうち1人が6台、他の3人も複数台のスマホを所有していた。このほかに金額は不明だが現金も見つかったという。
司法省はスマホを既に没収しており、証拠品として日本側に提供する見通しだ。レムリヤ司法相は31日の会見で、「多数の携帯電話を発見し、残念なことに(施設内から)犯罪組織が運営されていた実態がうかがい知れた」と言及。グループに便宜を図った入管職員が複数人いるとみられており、レムリヤ氏は今後、関係者を処分する方針を示した。
4人をめぐって警視庁は日本への移送後に特殊詐欺にからむ窃盗容疑で逮捕する方針で、強盗事件への関与についても捜査する。一連の事件で4人は指示や連絡の際、スマホの匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」を使用していたとみられている。