岸田文雄首相は31日午後の衆院予算委員会で、最重要政策と位置付ける少子化対策の一環として、子育て世帯の教育負担軽減策を検討する意向を示した。安全保障関連3文書で保有を明記した反撃能力(敵基地攻撃能力)については「憲法違反には当たらない」と述べ、重ねて理解を求めた。
政府は少子化対策の検討に当たり、児童手当など経済支援の充実▽子育てサービス拡充▽働き方改革―を柱とする方針を示している。首相は「三つの柱を中心に、さらに教育をはじめさまざまな政策を組み合わせたい」と言明。「教育負担の軽減に努力することは社会の一体感を考える上で大切な課題だ」とも語った。具体策には言及しなかった。日本維新の会の岩谷良平氏への答弁。
子どもの多い世帯ほど所得税負担が軽くなるフランスの「N分N乗(世帯課税)方式」については、「税負担の軽減が高額所得者に、より(多く)及ぶことになる」と述べ、慎重な姿勢を示した。国民民主党の浅野哲氏が導入への課題を尋ねたのに対して答えた。
首相は、反撃能力の保有は従来の憲法解釈と矛盾しないとの考えを強調。北朝鮮のミサイル保有状況などを念頭に、「反撃能力は国民の命を守るための必要最小限の措置に当たる、という憲法解釈を取る」と説明した。
共産党の志位和夫委員長は、米軍の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」に自衛隊が組み込まれるのではないかと指摘した。これに対し、首相は「自衛隊と米軍はおのおの独立した指揮系統で行動する」と述べた。
憲法改正に関し、首相は「(改憲)発議に向け、国会の議論で(各党と)スケジュールも共有しながら前に進める取り組みを期待する」と表明。安定的な皇位継承の在り方については「(各党内で)引き続き議論は行われるべきだ」との認識を示した。いずれも維新の藤田文武幹事長への答弁。
[時事通信社]