警視庁が特殊詐欺事件で逮捕状を取得し、強盗事件に関与した疑いが浮上しているフィリピン滞在中の渡辺優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)ら4容疑者の身柄引き渡しについて、日本大使館は30日、フィリピン政府に強制送還を要請した。 「ルフィ」とみられる渡辺容疑者は、フィリピン当局が、大規模な特殊詐欺グループの「ビッグボス」とみなす人物。渡辺容疑者を含む4人が幹部を務めるグループは、2017年ごろからフィリピンを拠点に活動を始めている。 渡辺容疑者らは日本から呼び寄せた「かけ子」に指示を出し、警察官などを装い、日本国内の高齢者宅に電話をかけさせていた。かけ子は「カードが不正利用されている」とウソをつき、日本にいる「受け子」が自宅を訪れ、封筒に入れた別のカードとすり替え、ATMで現金を引き出していた。 ■回収役としてグループの「金庫番」も兼ねる ダマし取った金をフィリピンの拠点まで届ける「運び屋」が、渡辺容疑者のオンナだった。 「受け子はATMで現金を引き出すと、タクシーに乗って渡辺のオンナが住む東京都東大和市の自宅などに運んでいた。タクシーの運転手も、特殊詐欺グループの一員だった。当時29歳だったオンナもグループの幹部で、高齢者からダマし取った金が4000万~5000万円ほどたまると、そのたびに現金をフィリピンの拠点まで届けていた。19年3月から9月まで少なくとも7回、現金を航空機内に手荷物として持ち込み、フィリピンで渡辺に手渡していた。オンナは回収役として、グループの『金庫番』も兼ねていました」(捜査事情通) ■特殊詐欺で仲間70人逮捕 19年11月下旬、大阪など10府県警の合同捜査本部が、運び屋役のオンナを窃盗容疑で逮捕。その2週間ほど前の11月14日には、日本からの情報提供により、フィリピンの入国管理局が当時のグループの拠点だったマニラのホテルで、日本人のかけ子36人を拘束している。逮捕を免れた渡辺容疑者ら幹部4人は偽名を使ってフィリピン国内に潜伏していたが、21年4月に高級ホテルに滞在中、現地当局に逮捕された。一連の詐欺事件の逮捕者は70人以上になる。 「タイ、中国、フィリピンなど、海外の特殊詐欺グループの拠点が次々と摘発されたことから、特殊詐欺からタタキ(強盗)にシフトしたのではないか。拠点や人手が必要な特殊詐欺と違って、タタキはスマホが1つあればできる。運び屋のオンナがパクられてからは、空のスーツケースを持ち込んで日本から現金を運び出そうとした中国籍の男が成田空港で逮捕されたこともあった。送金は現金の受け渡しのほか、口座振り込みやビットコインでもしていたようです」(捜査事情通)
警視庁が特殊詐欺事件で逮捕状を取得し、強盗事件に関与した疑いが浮上しているフィリピン滞在中の渡辺優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)ら4容疑者の身柄引き渡しについて、日本大使館は30日、フィリピン政府に強制送還を要請した。
「ルフィ」とみられる渡辺容疑者は、フィリピン当局が、大規模な特殊詐欺グループの「ビッグボス」とみなす人物。渡辺容疑者を含む4人が幹部を務めるグループは、2017年ごろからフィリピンを拠点に活動を始めている。
渡辺容疑者らは日本から呼び寄せた「かけ子」に指示を出し、警察官などを装い、日本国内の高齢者宅に電話をかけさせていた。かけ子は「カードが不正利用されている」とウソをつき、日本にいる「受け子」が自宅を訪れ、封筒に入れた別のカードとすり替え、ATMで現金を引き出していた。
■回収役としてグループの「金庫番」も兼ねる
ダマし取った金をフィリピンの拠点まで届ける「運び屋」が、渡辺容疑者のオンナだった。
「受け子はATMで現金を引き出すと、タクシーに乗って渡辺のオンナが住む東京都東大和市の自宅などに運んでいた。タクシーの運転手も、特殊詐欺グループの一員だった。当時29歳だったオンナもグループの幹部で、高齢者からダマし取った金が4000万~5000万円ほどたまると、そのたびに現金をフィリピンの拠点まで届けていた。19年3月から9月まで少なくとも7回、現金を航空機内に手荷物として持ち込み、フィリピンで渡辺に手渡していた。オンナは回収役として、グループの『金庫番』も兼ねていました」(捜査事情通)
■特殊詐欺で仲間70人逮捕
19年11月下旬、大阪など10府県警の合同捜査本部が、運び屋役のオンナを窃盗容疑で逮捕。その2週間ほど前の11月14日には、日本からの情報提供により、フィリピンの入国管理局が当時のグループの拠点だったマニラのホテルで、日本人のかけ子36人を拘束している。逮捕を免れた渡辺容疑者ら幹部4人は偽名を使ってフィリピン国内に潜伏していたが、21年4月に高級ホテルに滞在中、現地当局に逮捕された。一連の詐欺事件の逮捕者は70人以上になる。
「タイ、中国、フィリピンなど、海外の特殊詐欺グループの拠点が次々と摘発されたことから、特殊詐欺からタタキ(強盗)にシフトしたのではないか。拠点や人手が必要な特殊詐欺と違って、タタキはスマホが1つあればできる。運び屋のオンナがパクられてからは、空のスーツケースを持ち込んで日本から現金を運び出そうとした中国籍の男が成田空港で逮捕されたこともあった。送金は現金の受け渡しのほか、口座振り込みやビットコインでもしていたようです」(捜査事情通)