闇バイト強盗、フィリピン当局が男4人送還「直ちに手続き」…渡辺容疑者は2週間程度の可能性

【マニラ=小峰翔、水野哲也】関東など各地で相次いだ強盗事件を巡り、フィリピン司法省と在マニラ日本大使館が30日、現地の入管施設で拘束されている日本人の男4人について、身柄の引き渡しに向けた協議を行った。大使館によると、日本側は改めて早期の送還を要請し、フィリピン側は「直ちに必要な手続きを行いたい」と応じたという。
捜査関係者によると、現地で拘束されているのは、渡辺優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)の4容疑者。いずれも2019年にフィリピンで摘発された特殊詐欺グループの指示役として、警視庁が窃盗容疑などで逮捕状を取っている。4人のうち渡辺容疑者は以前、一連の強盗事件の指示役と同じ「ルフィ」を名乗っていたという。
同国のヘスス・レムリヤ法相は30日、記者団の取材に、2月8日を軸に調整されているマルコス大統領の訪日前に「問題を解決する」と述べた。訪日前に全員を送還するか、送還のメドをつける考えとみられる。
4人のうち今村容疑者の送還準備は整っているが、渡辺容疑者については、現地で別の罪に問われており、引き渡しに2週間程度かかる可能性があるという。
レムリヤ氏は、施設内で押収したスマートフォンの解析について、日本の捜査当局に協力する考えも示している。
松野官房長官は30日の記者会見で、「事件の全容解明に向け、フィリピン政府とも必要な連携を行っていく」と述べた。
腕時計など被害60万円…狛江強殺

一連の事件のうち東京都狛江市の住宅で大塩衣与さん(90)が殺害された強盗殺人事件の被害品が、腕時計3点とダイヤの指輪1点の計4点(約60万円相当)だったことがわかった。
警視庁幹部によると、スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」を含む腕時計3点は、事件翌日の今月20日に足立区で発見されたレンタカーの車内に残されていた。このレンタカーを使っていた永田陸人容疑者(21)(中野区の強盗致傷事件で逮捕)は調べに対し、腕時計について「友人から(売却すれば)『金になる』と言われてもらった」と供述しているという。
捜査関係者によると、同じレンタカーから見つかったスマートフォンには、「キム」と名乗る人物から大塩さん宅の住所を記したメッセージが届いていた。警視庁はキムと「ルフィ」が同一グループの指示役とみて調べている。