1年でこんなに変わるのか…尖閣で外来ヤギの食害深刻、斜面崩落・岩肌むき出し

沖縄県石垣市の中山義隆市長は31日、市が実施した尖閣諸島と周辺海域の環境調査について記者会見し、小型無人機「ドローン」で撮影した魚釣島などの映像の一部を公開した。魚釣島は外来のヤギの食害で緑の斜面がいたる所で崩落して岩肌があらわになっており、中山市長は生態系に及ぼす影響を懸念。早期に上陸調査を行うため、島を所有する国に対して上陸許可を出すよう求め、調査への参加を呼びかけた。
環境調査は昨年1月に続いて2回目。今回は1月30日朝から昼にかけて、魚影や海流、水質などの海洋調査、目視や空撮による景観調査を行った。今回初めて導入したドローンは作業船から魚釣島などに向けて4回飛ばし、島の海岸線手前の上空から撮影した。
会見で公開された映像には、緑の斜面が下に行くにつれて広がるように崩れ落ち、乾いた土や岩肌がむき出しになっていた。調査を受託し、同席した東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「1年でこんなにも変わってしまうのかという印象を受けた。食害で木の根や草が減り、生態系を維持できない島になり始めている」と危機感をあらわにした。中山市長は上陸調査に加え、ヤギの捕獲や駆除が必要との認識を示した。
石垣市にはふるさと納税で、同諸島に関する調査や情報発信のための寄付が昨年12月末までに約2億1700万円寄せられており、中山市長は「全国からの寄付を活用し、今後も調査を実施したい。何度も重ねることで、より正確な情報が得られる」と述べた。
一方、中国海警局の船が作業船の動きに合わせて領海侵入し、調査は海上保安庁の巡視船に守られながら行われた。映像には、操業中の日本漁船を追って侵入した海警船と巡視船が無線で警告し合う緊迫したやり取りも収録された。中山市長は「現状が改善されないと、漁業者も安心して漁に行けない。中国に対しては、国として 毅然 (きぜん)と対応してほしい」と求めた。