丸川議員「愚か者」やじ反省に透ける自民党の計算 岸田政権下で冷遇される安倍元首相の秘蔵っ子

参院議員の丸川珠代元五輪担当相が、13年前の国会で、当時の民主党政権に浴びせた「愚か者めが」との激烈なやじが、1月31日の衆院予算委員会での質疑で改めて取り上げられ、ネット上でも大炎上する騒ぎとなっている。
同日の質疑で、立憲民主党の長妻昭政調会長が、今国会での焦点の1つの「異次元の少子化対策」の修正ポイントとなる「所得制限なき子ども手当」に絡め、長妻氏が厚生労働相だった民主党政権時代に同じ政策を提起した際、丸川氏が「このくだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に許さない」とやじを飛ばしたことを厳しく批判したためだ。
「反省すべきは反省しなければならない」
岸田文雄首相も「ご指摘は謙虚に受け止め、反省すべきは反省しなければならない」と低姿勢で答弁。その後、丸川氏は追いかけるメディアに対し、悔しさを押し隠すように、岸田首相と同じ言い回しで反省の弁を繰り返した。
この「愚か者めが!」騒ぎは、同時進行でテレビ各局のニュースや情報番組で面白おかしく取り上げられ、ネット上でもツイッターのトレンドワードに急浮上。久々に注目の人となった丸川氏は、これまでの高飛車な態度を一変させ、殊勝な対応で、降り注ぐ火の粉を払うのに必死だった。
長妻氏は衆院予算委基本的質疑2日目の31日午前のトップバッターを務め、立憲民主の有力な論客として岸田首相と対峙した。
1時間にわたった質疑の中で長妻氏は、自らが厚生労働相だった鳩山由紀夫政権当時の2010年3月に、参院厚労委員会で子ども手当の法案が強行採決された際、「自民党が所得制限を強く求めたことを踏まえてある女性参院議員が、『愚か者めが、このくだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に許しません』というやじを飛ばした」と指摘、岸田首相に猛省を迫った。
これに対し岸田首相は、ここにきて所得制限撤廃に軸足を移しつつあるようにみえるだけに、「議論を尽くさないといけないと思うが、その際の発言、行動については、節度と相手に対する敬意を忘れてはならない」と低姿勢で批判を受け止めてみせた。
長妻氏はさらに、「挙げ句の果てに『愚か者めが』と書いたTシャツを、自民党の公式グッズとして1500円で発売、当時の広報委員長がそれ着てはしゃいでいた」と追い討ちをかけ、岸田首相は「議論は大事だったが、節度をこえていたとのご指摘は謙虚に受け止め、反省すべきは反省しなければならない」と事実上の陳謝を余儀なくされた