長崎県対馬市の観音寺から韓国人窃盗団が盗んだ仏像を保管する韓国政府に対し、韓国の 浮石 (プソク)寺が仏像の所有権を主張して引き渡しを求めた訴訟の控訴審判決で、韓国の 大田 (テジョン)高裁が原告の請求を棄却した1日、判決で所有権が認められた観音寺の関係者らは 安堵 (あんど)の表情を浮かべ、引き続き、速やかな返還を求めていく考えを示した。
韓国政府の参考人として昨年6月、控訴審の口頭弁論に出廷した観音寺の田中 節竜 (せつりょう)住職(47)は、判決について「願っていた通りになり、ありがたい。一刻も早く戻してもらいたい」と歓迎。父親で前住職の 節孝 (せっこう)さん(76)も「住職が法廷で訴えた思いが届いたのではないか。正当な判決で安心した」と喜んだ。
ただ、浮石寺は大法院(最高裁)に上告する方針を示しており、2人は日韓両政府に対し、速やかな返還に向けて適切に対応するよう訴えた。
仏像が盗まれてから10年以上たっても返還されない現状に、 檀家 (だんか)総代長の村瀬 辰馬 (たつま)さん(68)は「檀家にとってご本尊は心のよりどころ。二度と手放したくない」と強調。一般社団法人・対馬観光物産協会会長の佐伯達也さん(53)は、判決が日韓関係に及ぼす影響を懸念し、「日韓には難しい問題もあるが、それを乗り越えながら良い関係を構築していくことが大切」と指摘した。
長崎県の大石賢吾知事は「仏像は先祖代々、長年大切に守り伝えられてきたもの。一日も早く返還されるよう働きかけていく」とのコメントを発表した。