国を挙げて進められてきた新型コロナワクチン接種だが、開始から2年が経過しようとしている現在、さまざまな問題が噴出している。特に深刻なのは接種後に体調が悪化し、日常生活がままならなくなる「ワクチン後遺症」だ。ワクチンに伴う“薬害”は、なぜ黙殺されているのか。
治療法が確立されず、経済的な困窮に追い込まれ、周囲にも理解してもらえない──後遺症患者が苦しい現況に追いやられている背景には、国がワクチン後遺症の存在を認めていない事実がある。ワクチン後遺症の取材を続けるジャーナリストの鳥集徹さんが話す。
「後遺症を訴える人の多くは長期にわたって体調を崩し、経済的にも社会的にも追い込まれています。それでも国がワクチン後遺症を認めないから、医療界も問題解決に踏み出さない。
経済的な困窮は、本来ならば接種後に困窮した人を救うための『予防接種健康被害救済制度』が機能すべきはずなのに、申請のハードルが高い。そのうえ、実際に救済されるまで数か月から1年を要するといわれている。時間がかかりすぎるうえ、どのくらいの割合の人の申請が受理されるのか不明です。
何より問題なのは接種開始時に国を挙げて『感染予防のため、周りのために打て』と推奨したのに、後遺症に見向きもしないこと。戦争に行けと言ったのに傷病兵を補償もせず、見放しているのと変わりません」(鳥集さん)
実際に本誌『女性セブン』が取材した3人の後遺症患者のうち、申請が受理されたのは接種後すぐにアナフィラキシーの症状が出たA子さんだけだった。それも接種当日のアナフィラキシーの分のみに留まり、後に長く続く後遺症に対する補償は一切ない。
確かにコロナは、突然降ってわいた未曽有の「災害」であり、完璧な対処は不可能だっただろう。しかし、だからこそ後遺症の症状が明るみに出つつあるいま、国を挙げた調査や補償を行うことが必要なのではないか。自らもサリドマイド薬害の被害者で東京理科大学薬学部准教授の佐藤嗣道さんが語る。
「『大規模な追跡調査は難しい』という声もありますが、自治体には住民のワクチン接種記録があり、この記録と自治体が保有する国保の保険診療の請求書を突き合わせれば、接種歴と病歴との関係を調査できる。住民基本台帳や死亡届のデータと接種記録を突き合わせれば、接種と死亡の関係も追えます。ワクチン後遺症については、接種後に体調不良を訴えている人と担当医から速やかにヒアリングを行い、現状把握を急ぐべきです。