「マスク着用ルール」の法的根拠は?

政府がマスク着用を推奨する場面の見直しを検討している。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ5類に移行するのに伴う対応だ。マスク着用ルールとも呼ばれるが、その法的根拠についてまとめた。
Q マスク着用について政府は現在、どう呼び掛けていますか。
A 原則として屋外ではマスク不要、屋内では着用を推奨しています。ただ、屋外でも人との距離が保てず会話がある場合は着用を勧め、屋内でも図書館での読書など会話がなく他人と距離が保てる場面では、必要ないとしています。
Q 呼び掛けに法的根拠は?
A 新型コロナ対策は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づいて実施されています。具体的な対策を定めた政府方針(基本的対処方針)の中で、適切なマスク着用を推奨することが盛り込まれています。国はこれを根拠に着用を推奨する場面を発信しており、松野博一官房長官は記者会見で「マスク着用のルール」という言い方をしていますね。
Q 法的拘束力はありますか。
A マスクについて着用を義務付けた規定はありません。感染を広げないため、推奨しているのにとどまります。一方で感染症法には、マスクと具体的に示さないまでも、感染症の予防に必要な注意を払うことは国民の責務だとしています。
Q 5類になるとどう変わりますか。
A 新型コロナが特措法の対象から外れ、同法に基づくマスク着用の呼び掛けの法的根拠はなくなります。今後、どんな法的根拠で呼び掛けるかは明らかになっていません。
呼び掛けの内容については、政府方針では「ルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねること」としています。これまでも、本人の意に反して着脱を無理強いすることがないように呼び掛けてきましたが、今後は個人の考え方が尊重される場面が増えそうです。【熊谷豪】