日銀・植田総裁案、立民や共産は事前報道に反発「情報管理が甘い」「重大な問題だ」

政府が国会に提示した日本銀行の正副総裁の同意人事案について、野党は候補者の所信聴取を踏まえて賛否を判断する構えだ。これまでの金融緩和策の検証は不可欠との声が出ている。国会提示前に人事案が報道されたことについて、不満も上がっている。
立憲民主党の岡田幹事長は14日の記者会見で「(安倍政権が進めた)アベノミクスで行われた超金融緩和策について、検証、反省、どう正常化していくか(新総裁に)考えを確認したい」と述べた。長期間の緩和で「様々な弊害も出てきている」とも語った。
ただ、野党内では「当面の緩和継続は仕方ない」(立民幹部)との立場が大勢だ。国民民主党の玉木代表も記者会見で「当面、金利を引き締めることは適切ではない」と述べた。
一方、立民や共産党は14日の衆院議院運営委員会の理事会で、人事案が国会提示前の10日に一斉に報道されたことに「情報管理が甘い」と反発し、16日の理事会で松野官房長官が経緯の調査結果を報告することとなった。立民の笠浩史・野党筆頭理事は記者団に「情報漏えいがあったのか否か。重大な問題が発生している」と強調した。
専修大の沢康臣教授(ジャーナリズム論)は「秘密保持の厳格化は取材を 萎縮 (いしゅく)させる。日銀総裁人事は暮らしにも影響し、事前報道も(メディアの)欠かせない責務だ」と指摘している。