安倍晋三元首相(当時67歳)が奈良市で参院選の応援演説中に銃撃され死亡した事件で、奈良地検は14日、山上徹也被告(42)=殺人罪などで起訴=を捜査本部のある奈良県警奈良西署(同市)から大阪拘置所(大阪市都島区)に移送した。県警が事件に至るまでの複数の容疑を13日に追送検し、一連の捜査を終えたため。今後、地検が追起訴するか判断する。
山上被告は紺色のトレーナーとズボン姿で午前10時15分ごろ、移送用の車両に乗せられ奈良西署を出発。警備用などを含む計5台の車列は約1時間後、大阪拘置所に到着した。
山上被告は2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説中だった安倍氏を背後から銃撃して殺害したとして、23年1月13日に殺人と銃刀法違反(発射、加重所持)の罪で起訴された。
山上被告が事件に及ぶまでの過程を捜査していた県警は2月13日、自宅で無許可で銃を製造したとする武器等製造法違反や、選挙の自由を妨害したとする公職選挙法違反など計五つの容疑で追送検した。山上被告は裁判員裁判で審理される見込みで、今後は裁判の争点を絞り込む公判前整理手続きが進められる。
一方、山上被告の弁護団は14日、移送先が奈良拘置支所(奈良市)でなく、大阪拘置所としたのは接見交通権の侵害だとして、同拘置所への移送取り消しを求める準抗告を奈良地裁に申し立てた。【吉川雄飛、川畑岳志】