成田空港、やぐら撤去や土地の明け渡しを強制執行…県警機動隊と反対派の小競り合いも

千葉地裁は15日夜、千葉県成田市の成田空港用地内で、空港反対派が設置したやぐらや立て看板などの撤去と土地の明け渡しについて強制執行に着手した。反対派の抵抗に対する強制執行は2017年5月の団結小屋の撤去以来ほぼ6年ぶり。現場では、反対派と県警機動隊員らの小競り合いも起きた。
午後8時頃、数百人の機動隊員らが執行対象地を取り囲むと、約50人の反対派が互いに腕を組み、隊員の盾に体をぶつけた。やぐらの上にも数人が上り、「機動隊員は帰れ」とマイクでどなった。
強制執行の対象は、空港北側に位置するB滑走路近くの約4600平方メートルの土地。03年には成田国際空港会社(NAA)が所有権の取得を完了したが、「三里塚・芝山連合空港反対同盟北原派」がやぐらなどを建て、反対派の 市東 (しとう)孝雄さん(72)が野菜などの栽培を続けてきた。このため、B滑走路の誘導路が「へ」の字に曲がる原因となっていた。
最高裁は16年、NAAが土地明け渡しを求めた訴訟で、市東さん側の上告を棄却。NAAが「北原派」に工作物撤去などを求めた訴訟でも、東京高裁が昨年9月の控訴審判決でNAA側の請求を認め、さらに判決確定前でも強制執行ができる仮執行宣言を付した。
成田空港を巡る闘争は1966年、空港建設が閣議決定されたことで始まった。反対する住民や農民に過激派が合流し、78年の開港2か月前には管制塔占拠事件も発生。今では激しい反対運動は確認されなくなったが、空港用地にはもう1か所、NAAが所有していながら市東さんが耕作を続ける土地が残っている。