東京都議会第1回定例会が15日開会し、警視庁の小島裕史警視総監が治安状況の報告で、全国で相次ぐ強盗事件に触れ「全力で捜査に当たっている」と説明した。警視庁によると、捜査中の個別事件について、総監が都議会で言及するのは極めて異例だという。総監自らが捜査への決意を示すことで、市民らに広がる治安に対する不安を少しでも和らげようとする狙いがあるとみられる。
一連の強盗は、今年1月に東京都狛江市で発生した強盗殺人事件を端緒に次々と明らかになった。関連性が指摘される同種の強盗・窃盗事件は、14都府県で20件以上とみられており、警視庁は、これまでに複数の事件で、実行役ら計約20人を逮捕。小島総監は「本件(狛江事件)との関連性はもとより、犯行グループの解明、検挙に向け捜査している」などと説明した。
警視庁はフィリピンから強制送還された「ルフィ」などと名乗る指示役とみられる渡辺優樹容疑者(38)ら4人についても特殊詐欺に絡む窃盗容疑で逮捕している。小島総監は4人についても触れ、「一連の強盗事件などを首謀したかどうかを含め、引き続き全容解明に向けた捜査を迅速に進める」と述べた。
過去の強盗事件では、事前に資産状況を尋ねる「アポ電」と呼ばれる犯行予兆電話が被害者宅にあったことも確認されている。小島総監は、アポ電を受けた世帯周辺の警戒に加え、戸別訪問による防犯指導を強化する方針も示した。