空襲被害者、国会前で100回目の訴え 「救済法成立までやめぬ」

第二次世界大戦時の空襲で負傷した民間人を対象にした救済法の成立を求めて、「全国空襲被害者連絡協議会」のメンバーが実施している国会前の呼び掛けが、16日で100回目を迎えた。救済法案はいまだに国会提出されておらず、高齢化した遺族らは「法が成立するまでやめないが、200回目は迎えたくない」と声を振り絞った。
呼びかけは2019年に始まり、国会開会中の木曜日に実施されている。道行く人にメンバーが声を掛けながら資料を配る「こんにちは活動」と名付けて続けられてきた。
この日、活動に参加した千葉市の河合節子さん(83)は東京大空襲で母と2人の弟を亡くし、寒い日も暑い日も街頭に立ってきた。超党派の議員連盟は空襲で障害を負い、法施行時点で生存している民間人らに1人50万円を支払う救済法の成立を目指している。自身は支給対象ではないが「空襲被害は今後も起こるかもしれない。(戦争では国民皆が被害に遭ったから耐え忍ぶべきだという)『受忍論』を子や孫に引き継ぎたくない」と次世代にも思いをはせる。
1945年5月の空襲で母と弟を失った川崎市の鈴木正信さん(81)も参加した。2人の遺骨をいまだに見つけられておらず、「国には犠牲者の存在を認めてほしい」と静かに語った。【南茂芽育】