福岡市は21日、佐賀県産以外の国産牛肉を「佐賀産」などと偽り販売したとして、食肉加工販売業「ODEN」(同市博多区)に対し、食品表示法に基づく行政指導をした。同社は佐賀県上峰町の返礼品業者に、鹿児島県や長崎県など32道県産の牛肉約15トンを販売していたという。同社は「求められた(佐賀県産の)納入量を確保できなかった」と話している。
市食品安全推進課によると、同社は2021年3月~22年1月、少なくとも約15トンの生鮮牛肉を「佐賀県産」や「佐賀産」と偽り、販売。22年11月に農林水産省から市に産地偽装の情報が寄せられ、市が立ち入り調査などで伝票を精査して判明した。
同社は返礼品として佐賀県産牛肉約64トンの納入を求められていた。同社は取材に対し、「納入を求められたうちの9割が12月の返礼品向け。11月中には肉を確保するつもりだったが、うまくいかなかった」と説明。一部はよりランクが上位の他県産牛肉を販売したといい、利ざやを稼ぐ目的はなかったと強調した。
市は同社に対し、3月までに再発防止策などの報告書を提出するよう指示した。【野間口陽】