東京都狛江市の強盗殺人事件で逮捕された実行役の野村広之容疑者(52)は駐車場代を長期滞納するなど生活が苦しい様子だったが、事件後は一転、一括で未納分を支払うなど変化もあったという。
近隣住民らによると、野村容疑者は約10年前に埼玉県川口市の集合住宅5階の一室を購入して入居。家族はおらず、1人暮らしだったとみられる。同じ棟に住む女性は、すれ違えばあいさつを交わしていたといい「あんな事件を起こすようには見えなかった」。野村容疑者を日中に見かけることもあり「いつも普段着でどんな仕事をしているのか分からなかった」と話す。
住民らに比較的真面目な印象を持たれていた野村容疑者だが、自治会関係の住民男性は「負」の側面を見ていた。
野村容疑者は住宅管理費や駐車場代など月計約2万5千円の支払いを何度も滞納。督促に訪れる住民に「何しにきたんだ」とすごむこともあった。駐車場は希望する住民が多く、3カ月滞納すると契約を解除される規定で、2月に駐車場利用者の抽選を控え、焦っていた様子だったという。
ただ、狛江事件直後の1月下旬、野村容疑者は突然滞納していたうちの4カ月分、約10万円をまとめて支払ってきた。男性は「どう工面したのか」と語った。
2月22日朝、捜査員に囲まれ5階から住宅前に下りてきた野村容疑者。抵抗もせず警察車両に乗り込む姿は、住民の女性の目にはどこか観念した様子に見えたという。(内田優作)