厚生労働省の専門部会は27日、製薬大手の第一三共が承認申請していた経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」の製造販売を承認することを了承した。鼻の粘膜に噴霧する経鼻ワクチンは、承認されれば国内で初めてになる。
経鼻ワクチンは、弱毒化したウイルスを使った生ワクチンと呼ばれるタイプだ。厚労省によると、国内の臨床試験では、約3割の発症予防効果が確認された。一方、鼻水や喉の痛み、せきなどの副反応が報告された。2~18歳が対象で、左右の鼻腔(びくう)に0・1ミリリットルずつ(計0・2ミリリットル)を噴霧する。
経鼻ワクチンは、米国や欧州など30以上の国と地域で既に承認されている。国内で承認申請されたのは2016年で、審査に7年近くかかったことについて厚労省は、追加の臨床試験実施と評価に時間がかかったためと説明している。
現在国内で使われているインフルエンザワクチンは、ウイルスの病原性がない不活化ワクチンを皮下注射するタイプ。生後6カ月以上で接種できる。65歳以上の高齢者らについては定期接種に位置づけられている。
専門部会は、阪大微生物病研究会の「5種混合ワクチン」(対象疾患は百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、ヒブ感染症)の承認も了承した。5種混合が承認されれば初めて。【村田拓也、金秀蓮】