“タクシー傷害事件”に「微罪という処理で…」 女性警察官が不適切対応 運転手は「精神的ダメージ」

タクシーの車内カメラ映像。男が運転手を怒鳴り、殴りかかった。
運転手: お客さん、暴力は…暴力はやめて
男: 暴力は!? おめぇ、この野郎!
のちに傷害事件として50歳の男が逮捕されたが、実はこのとき、現場に駆けつけた警察が事件を巡って不適切な対応をしていたことが分かった。
この傷害事件は、1月16日未明、青森市内で起きた。
タクシーに乗った男が、目的地までの運賃640円分の支払いで、70歳の運転手と揉めた。
運転手: お客さん…金持ってなかったのか?
男: だから今、家から持ってくるって、しゃべってるだろうが!
このとき酒に酔っていた男は、すぐ近くにあるという自宅からお金を持ってくると主張し、タクシーを降りた。
運転手は男を追いかけ、支払いをするよう話すが、もみ合いに。
そのため、運転手は通報しようとタクシーに戻った。すると…
男: 連絡すんのか!?
運転手: ああっ…
男: 連絡すんのか、コラ!
運転手: 応援、応援…
男: なんやコラ!何よ、どこさいくっぺよ!
クラクションが鳴ると…
男: 何や、プーって何や、プーって鳴らして何なんよ、あーコラ!
運転手: ああっ…
何度も殴られて蹴られた運転手は、かけていたメガネを破壊され、腹部などに7日間程度のケガをした。
しばらくして警察官が到着した。
しかし、被害者を守るはずの警察は、このとき不適切な対応をとった。カメラはその一部始終を捉えていた。
女性警察官: ごめんなさいね、すごく怖い思いしたと思うんだけど、犯人捕まえてくれってなるとさ、どうしても運転手さんもこれから拘束しなきゃいけなくなるわけ。「微罪」っていう処理があるので、それでもいいかな。
運転手: うーん…
男性警察官: 今捕まえるとなれば…
女性警察官: ごめん、もう済んだ。暴行微罪でいいって。
30代の女性警察官が提案した「微罪処分」とは、犯罪事実が極めて軽い場合などに適用されるものだ。微罪になると逮捕や書類送検はされない。
運転手はこの「微罪処分」に一旦納得しかけたが、会社のことも考え、男を逮捕するよう求めた。
運転手: ちゃんとやっちゃったほうがいい。告訴するみたいな感じで。
女性警察官: 告訴…被害届出すっていうことだよね。
運転手: あとから彼の対応見て…
女性警察官: 今ここで写真撮っちゃえば、後から例えば別にやってもできるよ。
運転手: いい、めんどくさいから、後からどうのこうのいうより、今ちゃんとした方がいい。
女性警察官: さっき微罪でいいよって言ったから、上司の方に微罪でいいって報告しているんだけど。
運転手: 訂正して。申し訳ないんだけど。
運転手は後日、被害届を提出。事件発生から11日後、男は傷害の疑いで逮捕され、略式起訴となった。
しかし運転手は、事件から1カ月以上たった現在も仕事に復帰できないという。
タクシー会社の関係者: 全治1週間くらいのケガなんですが、めがねとかも破損されていますし、結局精神的なダメージが1番大きくなってしまって…
青森県警は、事件への対応が不適切だったとして、21日に女性警察官を本部長注意処分としたことを発表した。
(「イット!」2月28日放送より)