「沖縄が第二のウクライナになる」可能性も。台湾有事の“最前線”に直面する当事者たちの声

台湾からほど近い沖縄が、有事の可能性に揺れている。日中台米の争いに翻弄され、“前線”リスクに直面する現地の人たちは何を思うのか――。現地の声を聞いた。 ◆台湾有事に揺れる沖縄の人々の本音とは 終息の兆しが見えないウクライナ情勢や防衛費予算の増額など不穏なニュースが続くなか、日本でも戦争の足音を感じている場所がある。台湾有事に揺れる沖縄県だ。 台湾を不可分の領土だと主張する中国共産党は、台湾に対してこれまで何度も軍事的圧力をかけてきた。 それを是としないアメリカと日本。もしも台湾有事が起きたら、米軍基地のある沖縄は軍事攻撃の対象になってしまうのではないか――。“最前線”と目されている沖縄に住む人々は、この状況に何を思うのか。その声を拾うべく、記者は沖縄へと飛んだ。 ◆多くの人は「やはり怖さはある」と回答 2月上旬、台湾有事にまつわるニュースは地元紙でも盛んに報道されているが、街は普段どおりの賑わいだ。ただ、そこに住まう人に話を聞くと、多くは「やはり怖さはある」と答える。 「ロシアと同じように中国も領土を広げようと日本に攻めてくるかもしれない。中国と近い沖縄県は第二のウクライナになるかも……」(30代女性・那覇市・飲食店勤務) 「いざとなったら内地に“疎開”できないか、熊本に住んでいる息子に連絡を入れた」(50代女性・沖縄市・無職) ◆先島諸島の人々にとってはさらに深刻 ここで暮らす以上、誰もが「もしもの事態」を想像するのか。本州に住む人には考えられない。特に、台湾との距離が近い与那国島をはじめとする先島諸島の人々にとってはさらに深刻だ。 「与那国では町議会が国に避難シェルターの設置を求めました。正直、沖縄本島とは危機感に雲泥の差がある」(80代男性・宮古市・無職) ◆沖縄米軍基地の是非は一枚岩ではない 一方、台湾有事における沖縄米軍基地問題について意見を尋ねると、一様に口が重くなる。その是非については一枚岩ではないからだ。 「沖縄の人が訴えても絶対に基地はなくならないのだから、有事のリスクを受け入れて経済的な恩恵を受けたほうがいい。基地反対派に言ったら殺されそうだけど」(40代男性・沖縄市・タクシー運転手) 「基地で働く人も多いから、基地問題とつながる有事の話はしません。でも、先の戦争で日本が沖縄を“捨て石”にしたことを考えると、中国は怖いけど、今回の有事でも日本もアメリカも信用できない。信じられるのは同じ沖縄人だけ」(30代女性・嘉手納町・コールセンター勤務)