水増し請求、数十億円=複数社経由し還流、隠蔽工作か―楽天モバイル詐欺事件・警視庁

楽天モバイルの携帯電話基地局整備を巡る詐欺事件で、同社の元物流管理部長、佐藤友紀容疑者(46)らが関与した業務委託費の水増し請求額は、2019~21年に少なくとも数十億円に上ることが4日、捜査関係者への取材で分かった。
佐藤容疑者は当時、基地局整備を担当する部署の管理職で決裁権があったといい、警視庁捜査2課は、水増し請求の中心的な立場だったとみて調べる。
捜査関係者によると、楽天モバイルは19年7月、部材の運搬管理のため、物流会社「日本ロジステック」(民事再生手続き中、千代田区)と業務委託契約を締結した。
同社は同10月ごろから車両チャーター費などの名目で水増し請求をするようになり、架空請求額は21年までに数十億円分に上ったという。
佐藤容疑者らは隠蔽(いんぺい)のため、楽天モバイルからだまし取った金は複数の会社を経由させ、佐藤容疑者の口座や同容疑者の妻の会社に還流させていた。
楽天モバイルは昨年9月、不正発注があったと発表し、警察に相談。楽天グループは22年12月期連結決算で、不正の関連費用として119億円を計上した。
佐藤容疑者らは、基地局整備に使う運搬車両のチャーター代を水増し請求するなどし、約25億円を振り込ませてだまし取った疑いで逮捕された。同様の手口を繰り返しており、詐取総額は300億円に上るとみられる。
[時事通信社]