「ルフィ」一味から身分証偽造の依頼 日本での特殊詐欺や広域強盗 闇稼業の男「俺は日本で死んだことに…」 ジャーナリスト・片岡亮氏フィリピン・ルポ第2弾

一連の特殊詐欺や広域強盗事件で、「ルフィ」と名乗る指示役らが拠点としていたフィリピンでは、身分証の偽造が横行しているという。夕刊フジで「格闘技裏通信」を連載するジャーナリスト、片岡亮氏の現地ルポ第2弾は、「ルフィ」一味から、「闇稼業」に従事する日本人への依頼があった事実を伝える。
連続強盗事件の実行犯は、多くがネットで募られた「闇バイト」と呼ばれる寄せ集めだが、被害者から奪った金を支配していたのがフィリピンの首謀者たちだった。
その一味から身分証の偽造を依頼されたのが「高橋」を名乗るフィリピン在住の日本人だ。10年以上前からフィリピンの身分証明書を偽造、逃亡者や不法滞在者に売ってきた。以前インタビューした際、本人は「札幌生まれで医療機器販売メーカーの海外駐在員だった」と言っていた。当然、本当かどうかは分からないが、彼は驚くほど気軽に取材に応じ、そのカラクリを明かしていた。
「基本は出生証明証を偽造して、役人にワイロを渡してフィリピンの行政データベースに登録させる。簡単に『フィリピン生まれの東洋系』ということにできるんですよ」
過去、事故や病気で亡くなった東洋系の人物と入れ替えたケースもあるという。
「ただ、そういう依頼は他に頼る人がいないような孤独なタイプがほとんど。犯罪グループの連中とかになると、身分証なんか偽造しなくても金があるから、何かとワイロを使って不法滞在のままでも豪遊できていて」
都合が良いのは、日本が海外に長期滞在する日本国民の扱いに疎いことだ。3カ月以上の滞在の場合、当人が個々に大使館などで在留届を出さなければ、どこにいるか把握もできていない。旅券法で義務付けられているが、実際の届け出は全体の3割程度だとされる。
2月下旬、高橋と再会した。闇稼業をやっているというのに、相変わらず平然と顔を出して「ぶっちゃけ俺は日本で死んだことになっているから」と笑った。おそらく自身も身分証を偽造してフィリピンにいるのだろうが、詳しい話は避けられた。
「俺、身分証関連以外は一切、やらないです。日本で起こっている犯罪にも一切、関与してないし、それをやらないから生きてこられた」
これまで組織的な連中との接点は少なかったというが、「ルフィ」とも名乗るメンバーがいたグループの一味から、2年ほど前から断続的に身分証偽造の相談があったことを明かした。
「フィリピン人の友人を通じて連絡があって、茶髪の若そうな日本人女性と会ったんです。今回、逮捕されたりはしてない人ですね。『大量に20人分ぐらい必要』とか言っていたけど、依頼が二転三転して結局、ひとつも仕事にならなかった。トップが誰か分からないぐらい日本人グループが巨大化していたようで、下っ端の奴が話を聞いては上に伝え、またその返答を言いに来る伝言ゲームみたいな形だった」
高橋は、その連中とのやりとりで知った彼らの「悪の掟」についても明かした。