市立病院で遺体取り違え病理解剖、入院患者と救急搬送の患者…胸部と腹部切開して気が付く

長野県の松本市立病院は9日、オンラインで記者会見を開き、病理解剖を予定していた入院患者と取り違え、救急搬送後に亡くなった患者の遺体を誤って解剖したと発表した。取り違えた患者の遺族に経緯を説明し、今月和解したという。同院は患者の特定につながるとして、年齢や取り違えの時期などを明らかにしていない。
発表によると、取り違えられた患者は心肺停止状態で同院に搬送された後に医師が死亡を確認し、病理解剖室の前室に安置した。遺体は通常、霊安室に安置されるが、発熱外来の設置以降は、遺族が引き取りに来るまで前室を一時的に利用していたという。
その後、亡くなった入院患者の主治医らが、解剖室の前室に入室。病理解剖をする遺体と思い込み、解剖を始めた。胸部と腹部を切開すると、生前の手術の形跡がないことに気づき、取り違えが判明した。本来、病理解剖される予定の入院患者は、院内の病室に安置されたままだったという。
同院は取り違えの原因として、〈1〉解剖室で主治医や執刀医らが患者を確認しなかった〈2〉遺体の氏名を確認できるものがなかった〈3〉外来患者の遺体を前室に安置していることが主治医らに伝わっていなかった――ことなどを挙げた。再発防止のため解剖マニュアルを見直し、入院患者のネームバンドを解剖終了まで外さず、解剖時には執刀医や臨床検査技師、主治医らが遺体の確認を徹底するという。
中村雅彦院長は「ご遺体を傷つけ、ご遺族に大変なご心労をおかけしたことを心よりおわび申し上げる。医療安全に対する意識の向上と、再発防止の徹底に努める」としている。