ふるさと納税「続けるべきだ」91%、都市部では見直し要望…全国自治体首長アンケート

4月の統一地方選を前に読売新聞が行った「全国自治体首長アンケート」。全国の約9割にあたる1606自治体から回答が寄せられた。出身地や応援したい自治体に寄付する「ふるさと納税」は今年で創設から15年となる。この制度について「続けるべきだ」と答えた首長は91%に上った。
PR効果や収入増などを評価

このうち、「これまで通り続けるべきだ」と、現状維持とした回答は55%。その理由を複数回答で尋ねたところ、「返礼品の提供はPR効果がある」(92%)、「自治体の収入増につながる」(81%)、「地元の魅力をPRでき、観光誘致につながる」(57%)の順で多かった。
都市部と地方との税収格差の是正を目的に導入されたふるさと納税では、特定の自治体に寄付すると住民税などが控除される。アンケートでは「人口の多い都市部に税収が集中せず、地方にも分散される」(高知県黒潮町)と評価する声も目立った。
「返礼品競争が続いている」見直し求める声も

一方、「制度を見直した上で続けるべきだ」は36%。「やめるべきだ」(9%)を含めた理由は「本来の趣旨と違った返礼品競争が続いている」が88%と最も多く、「仲介業者への手数料が負担」(42%)、「税収が減る」(30%)が続いた。返礼品については寄付額の3割以下の地場産品とする基準が設けられたが、「産品が多いか少ないかで寄付額に差が生じている」(静岡県牧之原市)との指摘もあった。
総務省によると、2021年度の寄付総額は過去最高の8302億円。地方の自治体が多くの寄付を集める一方、寄付に伴う住民税の減収額は大都市ほど大きい。アンケート結果を都道府県別で見ると、制度の現状維持を望む自治体の割合は佐賀県(90%)、山形県(86%)、鹿児島県(83%)の順で高かったが、神奈川県は26%、愛知県は22%にとどまり、東京都はわずか6%だった。人口規模が大きい自治体ほど、見直しや廃止を求める傾向が強まることも明らかになった。
アンケートは、47都道府県と1741市区町村の首長を対象に2月、質問票を郵送し、インターネットによる回答方式で実施。1606自治体(89・8%)が回答した。