〈14年ぶりの世界一〉WBC優勝の瞬間、渋谷では何が起きていたのか…フェイスペイントを施して“狂乱する野球ファン”の様子を徹底ルポ

ムーキー・ベッツやマイク・トラウトら、MLBを代表する有力選手を擁するアメリカ代表を破り、WBC3大会ぶり3回目の世界一に輝いた侍ジャパン。
投打で獅子奮迅の働きを見せた大谷翔平が三振で試合を締めくくり、興奮のあまりグローブ、帽子を投げ捨てるその瞬間、渋谷スクランブル交差点では何が起こっていたのか。
渋谷の光景はいつも通り……?
試合が行われたのは平日の午前中。多くの国民にとって視聴しづらい状況である。とはいえ、14年ぶりの世界一だ。いったいどれほどの人々が渋谷で狂乱するのかと現地を訪れる、と……肩透かしを食った。一見“いつもの渋谷”と何ら変わりない光景が広がっているのだ。
日時の問題もあるだろうが、同じスポーツでもサッカーW杯のときの渋谷とはまったく様相が異なる。 デイリースポーツが3月18日に報じていた ように、ファンの年齢層やルールの分かりづらさから、“イベントの度に渋谷に集う若者”は野球に親しんでいない、ということなのだろうか。
しかし、現地を訪れると、決してそうとも言い切れない。数こそ少ないものの、野球を愛し、イベントに熱狂したい若者はたしかに渋谷に集っていたのだ。
「昨日の24時から応援に来ました」
普段は都内の大学に通っているという男性6人組は、一際目立つフェイスペイントで顔を飾り、大声を上げながら盛り上がっている。
「今日の6時、いや、昨日の24時から渋谷に来たんですよ! 優勝できて本当に最高です!
W杯のときは渋谷に来てなかったですし、ただ盛り上がりたいだけってわけではないんです。けど、小学校の頃から野球をやっていて……『これは行かなきゃ!』ということで、渋谷に来ました。
街の盛り上がりは……まだイマイチですけど、これからっすね! 日本! 最高!」
「ずっと渋谷に来たいと思っていて……」
彼らと同じく、友人たちと試合を観戦し、その後、渋谷スクランブル交差点前で盛り上がる若者グループがいた。
「ずっと渋谷に来たいと思っていて、旅行も兼ねて奈良県から来ました。今日の試合は本当に最高でしたね。
ユニフォームとタオルを見てもらったらわかる通り、注目していたのは阪神の選手です。メキシコ戦での緊急登板をなんとか切り抜けてくれた湯浅京己、源田壮亮が怪我した時の中野拓夢の頑張り……もう、忘れられません!
とにかく野球が好きで。これからも一通り東京を観光してから東京ドームで阪神対巨人の試合を見てきます」
渋谷の街は一見いつもとあまり変わりなかったものの、そこにはたしかに若い野球ファンの熱気があった。
「大谷のために開かれた大会って言っていいんじゃないですか」WBC優勝直後に渋谷に集った野球ファンが明かした“率直な思い” へ続く
(「文春オンライン」編集部)