岸田首相は否定も… 消えぬ解散説 野党はけん制「やったらよほどの党利党略」

岸田文雄首相(65)は29日の衆院内閣委員会で、与野党内から早い段階での〝解散総選挙論〟が出ていることに「今、考えておりません」と改めて否定した。
与野党内では岸田首相が2023年度予算案が与党などの賛成多数で衆参で成立したことなどを受けて、日韓首脳会談やウクライナ電撃訪問などの外交成果を背景に「早期の衆院解散総選挙に踏み切るのではないか」との憶測が出ていた。
この日、岸田首相は立憲民主党の中谷一馬衆院議員から「あなたはいま衆議院の解散を考えていますか、イエスかノーかで明確にお答えください」との質問に「イエスかノーかということですが、いま、衆議院の解散は考えておりません。防衛力の強化、エネルギー政策の転換、子ども・子育て政策など先送りできない課題としっかり向き合い、説明責任を果たしていきたい。衆議院の解散は総理の専権事項であるが、まずはこうした政策に取り組むことが第一であると考えております」と答えた。
しかし自民党内では早期の衆院解散論が消えていない状況だ。
「支持率が上昇しているなかでの衆院解散は、岸田総理総裁にベストでしょう。解散の大義は憲法改正。G7サミット後まで待っていたら支持率が下落する可能性だってあります」(自民党議員)
一方、立憲民主党の安住淳国対委員長は、国会内で開かれた同党の会合で「いきなりの解散は、(岸田首相が)やったらよほどの党利党略ではないか。大義のない解散は今までほとんどない」とけん制した。
岸田首相は前回2021年10月の衆院選で、総理大臣の就任からわずか10日後に衆院解散を行う奇策に踏み切り周囲を驚かせたが、自民党の圧勝に導いたことで知られている。
安住氏は早期の衆院解散をめぐるニュースについて「野党の(選挙)態勢が整わないうちに自分たちの都合で解散をしようという、よこしまな考えが自民党内にあることがニュースで出てきている可能性がある」と語った。