事業用電気の販売で、関西電力を含む西日本などの大手電力会社が顧客獲得を制限するカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は30日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で中部電力と中国電力、九州電力の3社側に計約1010億円の課徴金納付命令を出した。公取委が命じた課徴金額としては過去最高。公取委は各社が電力自由化の趣旨に反し、利益の確保を図った悪質な行為だと判断した。
公取委の発表によると、各社は2018年10~11月、大規模工場などを対象とする「特別高圧」と中小ビル用などの「高圧」の電気販売について、電力自由化前に各社が管轄していたエリアを越えて新たな顧客を獲得しないなど、競争を制限する合意をした。このカルテルは関電と、中部電、中国電、九電の3社側がそれぞれ2社間で結んでいた。
ライバル会社を排除して電気料金を高止まりさせ、利益を確保することが目的で、関係者によると、当時、関電の副社長だった森本孝前社長(67)ら各社のトップ級が主導したという。
課徴金額は、中国電が最も多く707億1586万円。中部電と販売子会社の中部電力ミライズが計275億5590万円で、九電は27億6223万円となった。総額は、これまでの最高額だったアスファルト合材カルテルの計約398億円(2019年)を大幅に上回った。一部の社には再発防止を求める排除措置命令も出した。
関西電力も違反を認定されたが、課徴金減免(リーニエンシー)制度を利用して調査開始前に違反を申告したため、いずれの命令も免れた。調査開始後に違反を申告した九電は、調査に協力したことも考慮され、課徴金が30%減額された。
また、公取委は30日、業界団体「電気事業連合会」の会合の際などにカルテルに関する情報交換が行われていたとして、電事連の池辺和弘会長(九電社長)に対し、加盟社に再発防止を徹底させるよう申し入れた。
公取委はさらに、電力各社には、カルテルの他にも、違反になりかねない行為があったとして、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会に情報提供を行った。
◆電力自由化=競争による料金の値下げとサービス向上を目指し、政府は2000年に大規模工場や商業施設で使う「特別高圧」、04~05年に中小ビルやスーパー向けの「高圧」の電力小売りを自由化。16年4月からは一般家庭が対象となる「低圧」も含めた完全自由化がスタートした。