長野市の善光寺で、「びんずるさん」と親しまれている木像が5日朝に持ち去られた窃盗事件。参拝客や現場周辺からは驚きが広がる一方、間もなく木像が見つかったことに、 安堵 (あんど)の声も聞かれた。
善光寺では同日正午、事務局の林 明晋 (めいしん)寺務総長が盗難被害に遭った「びんずる尊者」像の置かれていた台座前で報道陣に事情を説明。それによると、像が置かれている本堂は夜間に閉鎖されており、この日は午前5時半頃に開放。定例の朝の法要を終え、職員が同8時頃に像が台座に置かれているのを確認したが、30分後にはなくなっていたという。
境内に設置されている防犯カメラには、一人で像を持ち出す男の姿が映っていた。林寺務総長は「長い時間観察し、人員が手薄になるところを狙ったのではないか」との見方を示した。
この日、参拝に訪れた長野市の無職男性(78)は「びんずるさんが盗まれたと聞いてびっくり。善光寺のシンボルみたいな存在。盗むなんて考えられない」と語った。善光寺観光ボランティアで、信濃町の女性(68)は外国人ツアーガイドで訪れ、事件のことを知った。「見つかって良かったが、今日の参拝客は触ることができず、かわいそう」と気遣った。
40年近く境内で土産店を営む男性(65)は「盗み出した方法が気になるが、とにかく返ってくるということで良かった」と、ホッとした表情を見せた。
木像は県警から返却を受けた後、元の位置に戻されるという。同寺は警備態勢の見直しや防犯カメラの設置など、盗難防止策を検討するという。