袴田事件 弁護側、再審で無罪論告と謝罪を検察に求める方針

1966年6月に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人を殺害したなどとして強盗殺人罪で死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判で、弁護側が検察側に「無罪論告」と袴田さんへの謝罪を求める方針であることが関係者への取材で判明した。静岡地裁で10日に地裁、静岡地検、弁護側の三者協議が予定されており、地裁と地検に意見書の形で伝えるとみられる。
確定判決は、事件から約1年2カ月後に袴田さんが勤務していたみそ製造会社のタンク内から見つかった大量の血痕が付いた「5点の衣類」が犯行時の犯人の着衣だとし、袴田さんが衣類をタンクに隠したと認定して死刑を言い渡した。しかし、再審請求審では今年3月に東京高裁が弁護側の衣類のみそ漬け実験を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と認め、捜査機関が5点の衣類を捏造(ねつぞう)した可能性に踏み込んだ。
弁護側はこうした経緯から、検察側に有罪立証の放棄と無罪論告を求め、地裁にも無罪判決を出す場合に確定判決の誤判について謝罪を求める方針。また、袴田さんは長期拘禁の影響で意思疎通が難しいため、再審公判への出廷免除も地裁に申請するという。【二村祐士朗】