放射性物質含む下水汚泥 関東で3万4200トン未処理 集計で判明

東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質を含む下水汚泥について、毎日新聞が関東地方の主要な自治体などに取材したところ、5県内で計約3万4200トンを処理できず、今も焼却灰などの形で一時保管していることが判明した。大半は放射性物質濃度が比較的低い。東京23区で発生する汚泥焼却灰の約1年分に相当する。港湾や山林への埋め立てを巡って地元の理解を得るのに難航し、事故から12年たつ現在も処理の見通しが立っていないものもある。
下水汚泥を巡っては、事故直後の2011年5月、福島県内で放射性セシウムの混入が判明。その後、関東各地の自治体も検査を進め、下水道施設内に保管するなどの対応をとった。
毎日新聞は22年12月~23年3月、これらの自治体のうち関東地方の1都6県と県庁所在市、政令指定都市の計15自治体に放射性物質を検出した汚泥の処理状況などを尋ねた。
その結果、23年2月末時点で横浜市が約2万6600トンを下水道施設内で、川崎市が3435トンを港湾区域内で、それぞれ汚泥焼却灰として保管していた。
いずれも国が処理責任を負う指定廃棄物(放射性物質濃度が1キロ当たり8000ベクレル超)となっていないため、自治体が管理や処理を担当している。周辺での被ばく線量は一般人の年間限度(1ミリシーベルト)を下回る。川崎市は24年3月までに全てを民間の管理型最終処分場へ搬出する計画だが、横浜市は処理が終わる見通しが立っていない。
また、環境省などによると、関東地方では、指定廃棄物となっている下水汚泥が茨城、栃木、群馬、千葉の各県に計約4180トン残っている。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき国が国有林などに処分場を設置して長期管理する方針だが、いずれも住民の反対などで候補地が決まらず、計画が宙に浮いた状態だ。
一方、自治体管理分の汚染された下水汚泥全ての処理を終えたと回答したのは東京都、埼玉県、神奈川県と水戸市、さいたま市、千葉市。各自治体が回答したピーク時の保管量から、処理量は少なくとも約12万トンに上るとみられる。【五十嵐和大、渡辺薫】