千葉県の海岸で今月3日と4日、計40頭を超えるイルカが打ち上げられた。当時の状況について分析が進んできたが、結局、何が原因だと考えられるのか。各観点から専門家に聞いた。
■餌を追って低体温
打ち上げられたイルカはカズハゴンドウだった。銚子海洋研究所の宮内幸雄所長は「熱帯から亜熱帯にかけて生息しており、3月から今頃にかけて、餌を求め北上する最中だ。イワシなど餌を深追いして水温の低いスポットに入ってしまい、人間でいう低体温症のような状態になることもある」と指摘する。
■回収2体が妊娠中
国立科学博物館は死亡した6頭を回収し、詳しい死因などを調査している。同館によると、うち2体が妊娠中で、1体に重篤な肺炎の症状が見つかったという。
宮内氏は「イルカは妊娠中や、出産直後の親子などをグループで守る。守る対象を真ん中に配置し、列で行動する。妊娠中の1頭が餌を求めたか、冷水域などに入ったため助けるなかで、集団で巻き込まれたとも考えられる。肺炎ならば、細菌性の感染症か、水を飲んで溺死ということもありうる」と推測する。
英国では今年2月、イルカ2頭が鳥インフルエンザ「H5N1型」に感染し、死亡した例が報告された。
東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「ウイルスに感染した水鳥の糞(ふん)便が海水中に落ち、イルカの口から入って感染した可能性もある。イルカ同士の便を介した感染もあるかもしれない」と指摘する。
■大震災前には50頭
東日本大震災の7日前の2011年3月4日、茨城県の海岸にイルカ約50頭が集団座礁したことも話題となった。本紙で「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」(木曜)を連載する武蔵野学院大の島村英紀特任教授は「地震学からいえば、地磁気など地球の微細なシグナルを感知する能力は人間よりも動物の方が1~2桁高い。昔から三陸沖では大地震前にイワシが大量に獲れるとされた。餌となるイワシを追って、座礁した可能性もある」と話した。