怒れるセイウチ!ロシア北方艦隊の船を沈没させる 北極海

北極海のフランツ・ヨーゼフ諸島周辺で今月、ロシア北方艦隊の船がセイウチの攻撃を受け、沈没する事件があった。乗っていたロシア地理学会の研究者たちは無事逃げおおせたが、島への上陸用ボート1艘を失った。
この船は、ロシアの地理学者が19世紀の北極探検家ゲオルギー・セドフの足取りをたどるため、海軍北方艦隊の協力で遠征に出かけた調査船だ。
ゲオルギー・セドフは日露戦争にも魚雷艇で参加した航海士で、1912年、北極点を目指して犬ぞりを率いて出発。フランツ・ヨーゼフ諸島のひとつ、ルドルフ島に到着する目前で病死した。
ロシア地理学会によると、今月18日、フランツ・ヨーゼフ諸島で2番目に大きなウィルチェク島を探検しようとゲラー岬に上陸しようとした際、氷の海からセイウチがタグボートを襲来。
調査団は、オールを使って襲いかかるセイウチの攻撃を避けながら、なんとかして海岸まで泳ぎつき、そこで本船が救助に駆けつけた。全員、無事に逃げおおせたが、タグボートは水没したという。
調査団を襲ったセイウチは子どもを連れていたことから、母親の可能性が高く、縄張りに侵入した人間を威嚇したものとみられている。
九死に一生を得た調査団はその後も探検を続け、24日にはゲオルギー・セドフが埋葬された可能性が高い場所を突き止めた。ゲオルギー・セドフは1924年2月に深刻な肺炎で死亡したあと、同行していた2人の仲間が犬ぞりで遺体を運ぼうと試みたが、途中でルドルフ島の岬で埋葬されたという記録が残っている。
ロシア地理学会の調査団は「100年前の北極探検の日記にも、カヤックがセイウチの群れに何度も襲われたという記述がありますが、現代の私たちも同じ目に遭うとは想像もしていなかった」と話している。