和歌山市の雑賀崎漁港を演説に訪れた岸田文雄首相の近くで15日、筒のようなものが投げ込まれた現場に居合わせた地元の男性漁師(35)は産経新聞の取材に「直後に大きな音が聞こえた。頭が真っ白になり、足が震えた」と緊迫した瞬間を振り返った。
男性は、威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された男の3メートルほど後ろにいた。首相が地元のエビを試食し、演台に上ろうとした際、男が筒のようなものを投げ込んだ。
「お前、何やっとんや!」
そばにいた漁師仲間が叫び、男を押さえつけにかかった。直後に警察官らがなだれ込み、男を確保した。この瞬間を見ていた男性は「男はシルバーっぽい色のリュックを背負っていた。顔は分からなかった」と話す。
そこから5~10秒ほど後に「ドーン」という大きな爆発音が聞こえたという。現場は騒然とし、警察官らが一斉に避難を呼びかけた。
男性によると、現場には午前10時半ごろから聴衆が集まり始めた。かつては水揚げした魚などのセリが行われていた場所で、この日の聴衆も顔なじみの漁師や関係者がほとんどだったという。
演説を前に所持品検査などは行われず、男が聴衆を装って現場に現れた可能性がある。
男性は「直感的にまたリュックから何かを取り出すのではないか」と感じたといい、「安倍(晋三)元首相の事件があったにもかかわらず、結果的に警備が甘かったと思う。雑賀崎のイメージが悪くなりそうで、地元の人間としてはそれが心配だ」と話した。