県が独自に取り組んできた「きめ細かな指導」の継続に赤信号がともっている。
県内の小中学校30学級で、少人数学級を実施できていないことが明らかになった。子どもたちを指導する教員の数が足りていないのだ。
県は2002年度から少人数学級を段階的に導入。21年度には小1、2で30人、小3から中3は35人を上限とした少人数学級の実現を発表した。
ところが県教育庁のまとめによると、この4月から小学校14校で15学級、中学校13校で15学級が独自基準を満たすことができなかった。
国の基準(小1から小4が35人、小5から中3が40人)まで引き上げて編成したとするが、子ども一人一人への目配りや、教員の負担増が心配される。
少人数学級の必要性は、コロナ禍への対応も含めてあらためて叫ばれていた。きめ細かな指導による基礎学力の向上のほか、生徒指導上の課題解決に寄せる期待も大きい。
県内の不登校児童生徒数は過去最多を更新し続け、千人当たりに占める割合は小学生で全国最多である。子どもの貧困も深刻だ。ヤングケアラーと思われる子が5.5%に上る、という調査結果も公表されたばかりである。
子どもたちの背景が多様化する中、小さな変化も見逃さない学校の役割はますます重要になっている。
そのためには教員が子どもと向き合う時間をつくる必要がある。しかし現状は逆行している。
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教員不足は、病休・産休・育休の取得や特別支援学級の増加で必要な教員数が増える一方、代わりとなる臨時的任用教員が見つからないなどの理由によるところが大きい。
4月時点で公立小中高校と特別支援学校の教員不足は23人を数えた。昨年同期の64人からは減少したとはいえ、安堵(あんど)できる状況ではない。
「そもそも学年のスタート時点で人がいないのが問題だ」と関係者は指摘する。
病気による休職などは年度途中で発生するため、最終的な不足数は増える傾向にある。事実、今年1月時点の教員不足は135人に上った。
今のところ学級担任の欠員はないが、担任を確保できず児童を他の学級に振り分けた昨年度の出来事を思い出す。
教員不足は、カバーに入った教員の負担増により、さらに病休者が増えるといった問題にもつながりかねない。
どうしたら負の連鎖を止めることができるのか。
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県教育庁は「潜在教員」の掘り起こしや受験年齢の上限引き上げなどの対策を矢継ぎ早に打ち出した。働き方改革を進める部署も新設した。
ただ掘り起こしが進んでも、過酷な職場環境が改善されなければ、人材の定着にはつながらない。教員の質の確保も重要である。
やはり必要なのは働き方改革であり、そのスピードアップだ。
教員の仕事と事務作業の切り分け、部活動の外部委託など言われていることはいくつもある。有効な対策を確実に講じてもらいたい。