約110年ぶりの解体修理を終えた薬師寺(奈良市)の国宝・東塔の落慶法要が21日、始まった。初層(1階)に安置した4つの像に魂を入れる開眼の儀も営まれ、すでに西塔に安置している4つの像とともに「釈迦八相像」として約500年ぶりによみがえった。
釈迦八相像は当初、東西両塔に安置されていたが、釈迦の生涯の後半を表した西塔の像は戦国時代に焼け、前半を表した東塔の像は江戸時代に取り払われ、別の場所で一部が保存されている。同寺が像の復元を計画し、文化勲章受章者の彫刻家、中村晋也さんが制作。平成27年には西塔で開眼法要が営まれた。
今回東塔に安置された4つの像は心柱(しんばしら)を囲んで配置され、いずれも高さ約3メートル、幅4・7メートル、奥行き1・5メートル。それぞれ母親の胎内に宿る「入胎(にったい)」(北)、誕生する「受生(じゅしょう)」(東)、王子として過ごす「受楽」(南)、修行生活を送る「苦行」(西)を表し、釈迦の波乱に富んだ生涯を伝えている。加藤朝胤(ちょういん)管主は「お釈迦様は生身の人間で、みんなが幸せになるにはどうすればいいかをお考えになった。その生涯を知ってほしい」と語る。
この日の開眼の儀では、加藤管主や参列者らが筆を手に持ち、像に眼を入れる所作をした。
東塔の落慶法要は令和2年4月に予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。法要は25日までで、28日~令和6年1月15日には東西両塔の初層を一般公開する。