茨城・日立の妻子6人殺害、2審も死刑判決…東京高裁が被告側の控訴棄却

茨城県日立市で2017年に妻子6人を殺害したとして、殺人罪などに問われ、1審・水戸地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた小松博文被告(38)の控訴審で、東京高裁は21日、被告側の控訴を棄却する判決を言い渡した。伊藤雅人裁判長は「残虐な犯行で、死刑が不当だとする事情を見いだせない」と述べた。
判決によると、小松被告は17年10月6日早朝、同市の自宅アパートで妻(当時33歳)と子供5人(同3~11歳)を包丁でそれぞれ複数回刺した上、玄関付近にガソリンをまいて火を放ち、失血や一酸化炭素中毒などで殺害した。
被告側は「被告は起訴後の勾留中に病気で倒れて事件当時の記憶を失い、裁判に対応する訴訟能力がなかった」と主張。刑事訴訟法に基づき裁判を停止しなかった1審の手続きには法令違反があると訴えたが、高裁は「被告には弁護人の援助を得て裁判の内容を理解し、利害を見分ける能力があった」として退けた。
その上で、「同種事案と比べて犯行態様が特に悪質とはいえず、死刑は重すぎて不当だ」とする主張についても、妻や幼い子供を多数回突き刺した犯行であることなどを踏まえ、1審の量刑判断を支持した。