メアド1億件、クレカ情報1万7千件も…決済アプリ不正使用

フリーマーケットサービス「メルカリ」系のスマートフォン決済アプリ「メルペイ」を他人のアカウントで不正使用した疑いで、神奈川県警などに逮捕された中国人の男のパソコンなどから、決済サービスなどに使われるIDとパスワードの組み合わせ約290万件など大量の個人情報が見つかった。個人情報を入力させる「フィッシングサイト」の作成用プログラムも保存。県警などは押収品を精査し、中国を拠点に膨大な個人情報をかき集めて悪用する犯罪グループの実態解明を進める。
県警によると、中国人グループによる決済アプリの不正利用事件で今年2月に胡奥博容疑者を逮捕。パソコンなどからは決済サービス関連の個人情報のほかにも、メールアドレス約1億件が見つかった。クレジットカード情報も多数あり、海外のものを含め44ブランドの約1万7千件に及ぶ。
個人情報の収集に向けて使った疑いがあるフィッシングサイト関連のプログラムやメールのほか、パソコンに感染させて情報を抜き取るウイルスの作成方法に関する記載も保存。捜査幹部は「これだけの情報量を持って運用しているのは末端の者ではない」と話す。
決済アプリの不正利用事件では他人のアカウントを悪用してコンビニエンスストアで加熱式たばこを購入し、中国に転売。コンビニに到着した実行役に決済時に使用する二次元コードの画像を送信する手口で、短時間に複数の店舗で犯行を繰り返していた。
県警などの合同捜査本部は昨年6月以降、10人超を逮捕。これまで同種事件では逮捕が実行役らにとどまるケースが目立っていたが、胡容疑者が昨年3月に来日して逮捕につながった。県警などは見つかった個人情報の種類、分量から他の詐欺事件などにも悪用された疑いもあるとみて捜査している。(橋本愛)