3月に死去した音楽家の坂本龍一さんが最後まで反対していたことで全国的なニュースにもなった東京・神宮外苑再開発問題。大規模な集会が開かれるなど日に日に反対論が盛り上がっている。
再開発では神宮外苑にある球場とラグビー場を建て替え、さらに高層ビルの建設が予定されているが、開発にともない多くの樹木が伐採されることで反対が起きているのだ。坂本さんは小池百合子東京都知事らに手紙で「先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と訴えていた。
この手紙に対し、小池氏は3月中旬の記者会見で「ぜひ事業者でもある明治神宮にも送られた方がいいのではないか」と、都ではなく再開発の事業者となっている明治神宮などに意見を言うことを勧めていた。この対応で小池氏は「冷たい」「ひと事みたい」とバッシングされていた。
都庁関係者は「この再開発について小池氏はノンポリ、こだわりがないのです。それだけに手紙の対応で批判をされたことにはイライラしたそうで、担当部局に『事業者にちゃんとやるように言いなさい!』と強く指示をしています」と明かした。
4月に入ると都は事業者に対して「意義や理念が多くの都民の理解や共感を得られていないことが大きな問題」と指摘し、都民の疑念を払拭する対応策を示すよう求める要請を出している。事業者からの回答は約1週間で届いたが、「スピード回答を小池氏が望んだといいます」(同)。怒りの具合が分かるというものだ。
この先どうなるのか。再開発がストップしたり、内容が修正されたりすることはあるのか。都政関係者は「都の事業ではないので、知事や都にできることは事業者に要望を伝えることくらい」と指摘。一方で、前出の都庁関係者は「小池氏はこの件にこだわりがないからこそ逆にガンガン修正を求めていくことはあり得ます。批判はされたくないでしょうからね」と話した。