皇室とイギリス王室の交流154年…19歳の上皇さま、反日感情残る中で戴冠式参列

皇室と英国王室との交流は1869年(明治2年)まで遡る。英ビクトリア女王の息子・アルフレッド王子が王室から初めて来日し、明治天皇と面会した。この王子の来日を機に、皇室では英王室から海外賓客のもてなし方など外交儀礼の多くを取り入れた。
英国の 戴冠 (たいかん)式に皇室から初めて派遣されたのは1902年(明治35年)の小松宮 彰仁 (あきひと)親王。この時は国王エドワード7世が病気で戴冠式が延期されたため、参列はしなかった。
続いて11年(明治44年)のジョージ5世の戴冠式には東伏見宮 依仁 (よりひと)親王が、37年(昭和12年)のジョージ6世の戴冠式には昭和天皇の弟の秩父宮がそれぞれ夫妻で参列した。
日本の皇太子が初めて英国戴冠式に参列したのは53年(昭和28年)。19歳の上皇さまがエリザベス女王の晴れ舞台を見守られた。第2次世界大戦による反日感情が残っていたが、上皇さまは戦争の傷痕に向き合い、関係修復に努められた。
今回は、前例を踏襲し、天皇陛下の代理として皇太子待遇の皇嗣である秋篠宮さまが参列された。
一方、チャールズ国王は皇太子時代、日本の平成(1990年)と令和(2019年)の天皇の即位の礼に参列している。
名古屋大の河西秀哉准教授(日本近現代史)は「皇室にとって英国王室は特別な存在であり、国民との触れ合いを大切にするなど模範とした部分は多い。皇嗣の秋篠宮さまの派遣は、150年に及ぶ友好関係を重視した表れだ」と話す。