学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(52)が佐川宣寿(のぶひさ)・元理財局長に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は8日、非公開の進行協議が大阪高裁であった。雅子さんの代理人弁護士は協議後、1審で認められなかった佐川氏への本人尋問を実施するよう高裁に申請したと明らかにした。
申請は1日付。代理人の生越照幸弁護士は記者会見で「何があったかを知っているのは佐川氏。なぜ俊夫さんが自殺に追い込まれたのかを明らかにするために尋問は必要だ」と話した。改ざんに関わった理財局の元総務課長ら4人の証人尋問も求めた。
佐川氏らの尋問は1審・大阪地裁でも請求したが、地裁は「採用しなくても判断は可能だ」として認めなかった。そして2022年11月の判決で、国家賠償法の規定に基づき公務員個人は賠償責任は負わないと判断し、請求を棄却した。これを不服とし、雅子さん側が控訴していた。【鈴木拓也】