震度6強の珠洲、雨漏りに苦しめられる高齢者…涙ながらに「雨がやむのを祈っています」

石川県珠洲市で震度6強を観測した地震は7日、発生から2日が経過した。大型連休最終日となったこの日、住民は市外に住む親族の力も借り、損傷した家屋の応急処置や室内の片付けを急いだ。一方、6日から続く降雨で、高齢の住民は自力で屋根の補修ができず、雨漏りに苦しめられるケースも相次いだ。
市内では7日、住民らが損傷した家屋にブルーシートを張るなどし、復旧作業を進めていた。同市正院町正院にある義父宅の修理を手伝った金沢市の公務員(55)は「連休明けには仕事に戻るので、今日中に片付けなどを済ませたい。この後は、ごみを捨てに行かないといけない」と忙しそうに話した。
7日に営業を再開した珠洲市のホームセンターには、復旧作業に使う資材を求める客が次々と訪れた。粘着テープを買った同市の会社員(57)は「きのう(6日)は穴水町まで買い物に行った。これで遠くまで行かなくて済む」と 安堵 (あんど)の表情を浮かべた。
同市狼煙町の私設資料館を管理する金沢市の無職の女性(73)はプラスチック製のボードを購入し、「崩れた壁をふさぐのに使いたい。店が開いて助かった」と話した。
一方、高齢の住民だけでは壊れた屋根を直せず、雨漏りに悩む例も相次いだ。
珠洲市正院町の男性(88)宅は、地震で瓦がはがれ、家中で雨漏りが起きた。妻(86)は足が不自由な男性に代わり、バケツにたまった雨漏りの水を捨てる作業を朝から晩まで続けている。修理のめども立たず、「私が家を守らないといけない。雨がやむのを祈っています」と涙ながらに話していた。
同市折戸町で一人暮らしする70歳代女性の自宅も雨漏りに見舞われた。女性は、天井から落ちる雨水で髪がぬれ、室内でも上着を羽織っていた。公民館でブルーシートを入手したが、女性は「一人では、どう対処することもできない」と表情を曇らせていた。
地震による水道管の破損などで珠洲市の最大128世帯で発生した断水は、7日午後1時頃に全て解消した。影響を受けた住民は胸をなで下ろした。

断水は解消「2日ぶりに風呂」

「2日ぶりに風呂に入ることができて、ほっとした」。同市、すし店の経営者(46)は7日、安心した様子で語った。自宅では、6日午前から丸1日断水した。家族5人は片付け作業で汗やほこりまみれになったが、6日は風呂に入れなかったという。
近くの福正寺でも、6日から断水し、7日になって水が使えるようになった。信楽明生住職(53)は「やっと水が使えるようになって一安心。数日は水道メーターで漏水がないか確認したい」と話した。
同市正院町、無職の男性(60)の自宅でも、6日昼から7日朝まで断水。公共施設のトイレを使うなどして過ごしたが、「さらに長引いていたら大変だった」と振り返った。
給水車などを使って同市内で行われていた水の配布も7日に終了した。