現役市議の男女が車内での行為を巡って、前代未聞の泥沼裁判となっている。裁判所に提出した答弁書で「議員という立場でレイプドラッグを使ったことは一切ないと主張するなら、公に対して説明する責任がある」と反論するのは、滋賀県高島市の現職・中川あゆこ議員(42)だ。事件は2021年7月の深夜に起きた──。
中川市議は大津市内で同僚だった万木(ゆるぎ)豊市議(58)、磯部亜希市議を含めた4人で会食。その後、万木市議が車で磯部市議を送り、中川市議の自宅へ向かう途中のコンビニ駐車場で、性的暴行の被害を受けたと主張。一方、万木市議は「性的な行為はあったが、中川市議の意思に反してではない」と、容疑を全否定。市議会では、これまでに5回の辞職勧告決議が可決されているが、万木市議は議員を続けていて、議会は混乱の中にある。
だが、中川市議のインタビューが掲載された産経新聞の記事(2022年7月13日付※現在は削除)で社会的評価を著しく低下させられたとして、昨年10月に万木市議が中川市議を相手取って約160万円の慰謝料を求めて大津地裁に提訴。NEWSポストセブンが取材を進めると、万木市議の訴えに対して、中川市議が猛反論していることがわかった。
中川市議は産経新聞の取材に事件当日、万木市議がコンビニで買ってきたお酒を手渡され、数口飲んだ後に意識がもうろうとなり、車内で性行為をされていたと証言。
中川市議は事件の約1週間後に警察署に被害届を提出し、万木市議は昨年3月に準強制性交の疑いで書類送検された。しかし、昨年6月に大津地裁は万木市議を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。中川市議は不同意の性行為でうつ状態からPTSDを発症し、現在も通院とPTSD用の抗うつ剤の服用を余儀なくされているという。地元紙記者が語る。
「万木市議は訴状の中で、中川市議の『レイプドラッグを使われたのではないか』『その後の性行為についても万木市議は取り調べに対し、車内で体を触ったことや一部の性行為について、認めていた』と産経記事で記載された証言を問題視しています。万木市議が合意がないまま性行為をした人物で、犯罪行為を行った人物という事実ではない印象を与えるとして、中川市議を訴えています」
さらに、万木議員は訴状で「レイプドラッグを使ったことは一切なく、また原告は被告との合意に基づいて性的な行為にいたったのだから、事実無根の事柄によって自らの名誉が侵害される苦痛は大きい」と、一貫して犯罪性を否定している。