未払い診療費、時効で1.8億円回収できず 熊本市民病院

熊本市民病院(熊本市東区)は10日、1997~2017年度の約20年間で、未徴収の診療費計約1億8000万円を患者から回収できなくなったと明らかにした。既に時効の3年が過ぎ、市は回収が困難と判断。23年3月までに全額を債権放棄した。大西一史市長は「管理がずさんだった」と釈明した。
市病院局によると、未徴収の診療費を確認できたのは、入院や外来で受診した3365人分。多くは生活困窮者など支払う意思や能力がなく受診した人とみられる。
市はこのうち500人分の約2560万円を21年度に先行して債権放棄。残る未徴収者に文書を送り、支払う意思が確認できなかった2577人分の計1億5465万円を22年度に債権放棄した。いずれも市の病院事業決算で会計処理するという。
大西市長は10日の定例記者会見で「債権管理できていなかったことが大きな問題だ」と述べた。市病院局は未回収金の存在は把握していたとしつつ「督促の調査手順が定められておらず、着手が遅れた」と弁明。今後、原因究明を進め、督促しても支払いがなければ法的手段も検討するという。【中村園子】