未明の首都圏を強い揺れが襲った。11日午前4時過ぎ、千葉県木更津市で震度5強を記録した地震では、関東地方を中心に広い範囲で体に感じる揺れ(震度1以上)が観測された。木更津市内では住宅の屋根瓦が落ちるなど建物5棟が一部損壊し、エレベーターの停止も相次いだ。石川県の能登半島で5日に最大震度6強の地震があったばかりで、「能登のことを思い出し、怖くなった」と話す住民もいた。
「まだ寝ていたので、布団をかぶって揺れが収まるのを待った」。木更津市大和の女性(81)は声を震わせた。食器棚の観音開きの扉があいて、食器類が床に落ちて割れたという。
同市中央の住宅では、2階の屋根から瓦が落下して破片が散乱した。住人の女性(44)は「子どもは家の中で寝ていて外に出ていなかったので無事だった。タイミングが悪ければ当たっていたかもしれない。ぞっとする」と話した。
千葉県館山市北条の市職員(32)は、緊急地震速報の警報音などで跳び起きた。「能登半島の地震のことを思い出して心配した」と話した。
強い揺れに反応し、建物内のエレベーターも相次ぎ停止した。大手エレベーター管理会社によると、千葉県内では11日午前10時現在、木更津市などを中心に、同社が管理する約300台が停止した。安全のため震度4や5程度の揺れをセンサーが感知すれば自動停止する仕組みで、大きなトラブルは起きていないという。
木更津市北浜のホテルでは3台が停止し、館内放送で「エレベーターが停止しておりますが建物に異常はありません。ご安心ください」と呼びかけた。同市に隣接し、震度5弱を観測した君津市でも市役所の3台、君津駅の1台が停止した。いずれも閉じ込められた人はいなかった。
木更津市の県立木更津東高校では、校舎2棟を結ぶ2階の渡り廊下で、接合部に取り付けられた長さ約4メートルの金属板が落下した。けが人はなかった。同校はこの渡り廊下を通行禁止にした。島崎一広校長は「生徒や教員がいない時間だったのが幸い」と話した。
平田直・東京大名誉教授(地震学)の話「千葉県の房総半島では、南からフィリピン海プレート、東から太平洋プレートが沈み込んでおり、普段から地震が多い。今回の地震は震源がやや深く、プレートの内部で発生した。最大で1週間程度は、同じ規模の地震が起きる可能性がある。古いブロック塀などが損傷を受けている可能性があるため、十分注意してほしい」