「安倍氏後継」吉田氏は険しい表情、にこやかな林外相…「遺恨やしこり残らなければいいが」

山口県内の小選挙区数が1減となる次期衆院選に向けた自民党の公認候補予定者の調整は、党県連の手を離れ、党本部に委ねられた。党執行部は新3区(下関市など)に林外相(62)を選ぶ方向で最終調整に入った一方、競合する安倍晋三元首相の後継・吉田真次氏(38)は比例転出が検討されており、支援者間には不満もくすぶる。
8日、党本部であった県関係の国会議員らの会合「二木会」。村岡 嗣政 (つぐまさ)知事からの予算要望の説明を前に、会長の林氏が「活発な議論をお願いしたい」とにこやかにあいさつする間、吉田氏は険しい表情を崩さなかった。会合後、吉田氏は報道陣に「お話しすることはない」と口を閉ざした。
小選挙区の「10増10減」に伴い、県内の選挙区数は4から3に減る。4選挙区を独占する自民党は1人が比例選に回るなどの対応が必要で、4月の補欠選挙以降、県連が調整してきた。
しかし、複数の関係者によると、比例転出の可能性が高いとみられていた吉田氏が県連一任の提案を受け入れず、調整は難航。県連は7日、高村正大氏(52)が新1区(山口市など)▽岸信千世氏(32)が新2区(岩国市など)▽林氏と吉田氏が新3区――を希望したとする調査結果のみを党本部の森山裕・党選挙対策委員長に報告し、最終的な判断を仰ぐ形になった。
友田有・県連幹事長は報告後、報道陣に「(現時点で)できる仕事は終わった」と述べ、残りの1人も当選できるよう“配慮”を求めたことも明らかにした。ある党関係者は「比例中国ブロックの上位に置いてもらえれば御の字だ」と語る。
一方で、吉田氏側の不満は根強い。伊藤昭男・安倍後援会長(87)は、2021年衆院選で参院からくら替えした林氏に「自身の都合で選挙区をうろうろするのはいかがなものか。有権者に失礼だ」と憤る。安倍昭恵夫人や安倍派幹部は、吉田氏を新3区に残すよう茂木幹事長や岸田首相に直談判した。
ある県連関係者は「遺恨やしこりが残らなければいいが……」と、組織内の不協和音を心配する。