10日午前11時ごろ、羽田空港(東京都大田区)の誘導路で、タイ国際航空とエバー航空の旅客機同士(いずれもエアバスA330)が接触した。国土交通省によると、乗客と乗員が合計400人超に及ぶものの、けが人は確認されていない。空港には滑走路が4本あり、このうち誘導路付近にある「A滑走路」が一時閉鎖され、午後1時過ぎに運用が再開された。
国交省によると、接触したのはいずれも離陸する前のタイ国際航空683便(バンコク行き、乗客乗員264人)とエバー航空189便(台北行き、同207人)。タイ国際航空の旅客機が、誘導路に止まっていたエバー航空の旅客機の左側を通って追い抜く際に接触したとみられる。エバー航空側は滑走路に出るために待機していたという。
国交省がタイ国際航空側の機体を調べたところ、右側主翼の先端にある跳ね上がり部分(ウイングレット)の損傷が見つかった。エバー航空側からは、後方左側の水平尾翼に損傷が確認された。いずれも運航には差し支えない程度の損傷だという。
出張のためタイ国際航空を利用しようとしていた会社員の小川邦夫さん(49)は「ガタン、という音が聞こえ、機体が弾むような感覚があった」と語った。何が起きたかがすぐには分からず、スマートフォンでニュースを見て機体同士の接触を知った。タイ国際航空は乗客に振り替え便を案内しているといい「仕事には間に合うと思う」と話した。
一方、エバー航空を利用しようとしたインド出身で日本在住のラグラム・ベンカテサンさん(28)は、10日夜に台湾で開かれる友人の結婚式に参列する予定だった。航空会社からは10日夜以降の振り替え便を提示されたが「もう間に合わない。絶対に参加したかったので今日、仕事を何とか終わらせてぎりぎりで空港に着いた。本当に残念だ」と肩を落とした。
日本航空(JAL)によると、10日夕方の時点で羽田―伊丹空港間の4便が欠航となったほか、約50便が30分以上遅延した。国交省によると、JALや全日空(ANA)を含む羽田空港発着の計250便以上が遅延した。【渡辺薫、平塚雄太、巽賢司】