ジャニーズ特別チーム会見 「性加害起きたこと前提で問題点検討」

ジャニーズ事務所の前社長、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害疑惑で、外部専門家による「再発防止特別チーム」が12日、東京都内で記者会見し、前検事総長の林真琴座長は「喜多川氏による性加害が起きたことを前提に、事務所の過去の対応、ガバナンスの問題点を厳正に検討していく」と述べた。また、藤島ジュリー景子社長が「容易でない」としていた性加害の事実認定についても進める方針を示した。
特別チームはジャニーズ事務所が5月に設置。同月29日に第1回会合を開き、事務所への資料請求や、ヒアリング対象者の選定を始めたと明らかにした。記者会見には精神科医、飛鳥井望氏も出席し、検証結果と再発防止策を「適切な時期」に公表するとした。
事実解明の必要性を問われると、林座長は「喜多川氏による性加害があったことを出発点にする」と回答。さらに「性暴力がどのような形でなされたのかを認定するのは特別チームの専権。(事務所側が)認めているのかどうかにかかわらず、我々が事実認定していく」と述べた。
ただし「過去の加害行為の全てについて網羅的に調査することを目的とはしていない」と強調し、あくまで現役タレントを含め、被害申告を望む関係者にのみヒアリングする考えを示した。この方針について、飛鳥井氏は「調査を受けること自体が被害者にとっては大変な負担のため、網羅的な調査は適切でない。話を聞いていく中で掘り下げた方がよい問題があれば、話していただける方に協力を打診していく」と補足した。
ジャニー喜多川氏が死亡している上での事実認定の方法について、林座長は「法的責任を追及するのであれば非常に慎重に資料を収集し確証がないとできないが、我々はそういうチームではない。被害者の話が『これは確からしい』と思えれば、事実認定に問題ない」との見解を示した。
また、藤島社長が第三者委員会を設置しないと説明していた件については、林座長は「外部の独立した有識者で構成し、独立した形で調査検証を行うので、第三者委員会だと受け取ってもらって差し支えない。必ずしも第三者委員会と名乗る必要はない」とした。
「週刊文春」が報じた、事務所に以前所属していたマネジャーによる性加害についても調査対象にする。飛鳥井氏は「これだけの歴史と組織規模がある事務所なので、いろいろなセクハラ行為があったとしても不思議ではない。性加害に対して甘い組織風土がなかったかは、まさにこのチームが検討すべき問題だ」と話した。【伊藤遥】