死亡の菊松1曹は「格闘の達人」、八代3曹は仲良しの三つ子…戸惑いと悲しみ深く

陸上自衛隊「日野基本射撃場」(岐阜市)で男性自衛官3人が自衛官候補生の男(18)に銃撃されて死傷した事件で、3人と男には射撃場以外で直接の接点はなかったとみられている。なぜ撃たれなければならなかったのか――。亡くなった菊松安親1曹(52)と八代航佑3曹(25)の関係者は、戸惑いと悲しみに包まれている。
八代さんは、岐阜市から西に約20キロ離れた岐阜県池田町の田畑が広がる地域で育った。中学、高校とサッカーを続けており、中学で同級生だった女性(26)は「口数が多いタイプではなかったが、まじめな人柄が印象に残っている」と振り返る。
長兄の下にいる三つ子の1人だった八代さんは、3人の中でまとめ役だったという。大人になってからも3人で集まるなど、女性から見ても「仲が良い」関係だった。
地元で行われた成人式にも姿を見せ、同級生たちとの再会を喜んでいた。凶弾に倒れたという報に触れ、女性は耳を疑った。「本当にショックで言葉も出なかった。今も信じられない」
実家近くに住む住民らは、幼い頃に三つ子が仲良く遊んでいた姿を覚えている。八代さんが自宅に遊びに来たことがあるという60歳代の女性は「立派に育って独り立ちできたところなのに。懸命に育てたご両親もいたたまれないでしょう」と、沈痛な面持ちで話した。

菊松さんの出身地で、自衛官として勤務経験もある宮崎県でも、驚きや悼む声が聞かれた。
親族の男性(51)によると、菊松さんは同県の旧高岡町(現宮崎市)の小中学校を経て県立高校を卒業し、陸上自衛隊に入隊した。男性は「真面目で面倒見がよかった。今は悲しみよりも衝撃の方が大きい」と、胸の内を明かす。
えびの駐屯地(宮崎県えびの市)に菊松さんが勤務していた2003年頃、隣人だった同県小林市の60歳代男性は「責任感が強くて明るく、周りから人が集まってくるような人柄だった」と突然の死を惜しんだ。
陸自によると、菊松さん、八代さんと、重傷を負った原悠介3曹(25)は、守山駐屯地(名古屋市)に拠点を置く第35普通科連隊に所属。菊松さんと原さんは新隊員教育隊本部で、八代さんは新隊員教育隊で自衛官候補生を指導していた。いずれも、銃撃した男と直接の接点がある立場ではなかったという。
同駐屯地で菊松さんから格闘技を習ったという男性予備自衛官は17日、献花するために日野基本射撃場を訪れた。男性は「格闘の達人だった。熱心で面倒見が良く、丁寧に教えてくれた」と涙を浮かべていた。
同駐屯地に勤務する50歳代の男性自衛官は「菊松さんは後方担当で、撃った候補生と直接関わり合いがないはず」と首をかしげる。
捜査関係者によると、男は調べに対し、特定の個人や組織へのうらみは口にしていないという。自衛隊の警務隊と岐阜県警は今後、動機などについて調べを進める。