逃亡生活に終止符が打たれた。警視庁捜査二課は6月4日、UAEから緊急帰国した前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)を、俳優・綾野剛らへの暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの容疑で逮捕。警察庁の露木康浩長官も記者会見で「容疑者の逃げ得を許さない」と胸を張った。
社会部記者が言う。
「そもそもガーシーがUAEに逃亡したのは、同国が“マネロン天国”とも言われ、犯罪者に甘いとされるから。しかも、日本との間に犯罪者引き渡し条約も結ばれていません。現地から有名人を誹謗中傷する動画配信を続けていました」
警視庁がガーシーの逮捕状を取ったのは、今年3月16日。だが、以降もガーシーは「俺は絶対に捕まらない」と嘯いていた。
「UAEは資産家に長期滞在を認めるビザを発行している。4月12日付で日本のパスポートは失効しましたが、ガーシーは動画で『10年滞在のゴールデンビザを保有している』と明かしていました」(同前)
同じ頃、警視庁の働きかけで、インターポール(ICPO)がガーシーの国際手配に踏み切ったと報じられた。「ICPOには捜査権限はないものの、国際犯罪者の情報や指紋などのデータが蓄積されています。ただ、当初は容疑者の身柄確保を求める『赤手配』ではなく、容疑者の所在などに関する情報を手配する『青手配』に過ぎなかった。ガーシーも『インターポールなんてルパン三世でしか聞いたことない』と余裕を見せていました」(同前)
だが、事態はここから急展開を見せる。
UAEが逮捕へ向けて協力姿勢に転じた理由
「カギを握っていたと見られるのは、ICPOのトップに一昨年選出されたアフメド・ナセル・アル・ライシ総裁です」(捜査関係者)
実は、ライシ氏はUAE出身。同国内務省の首席監察官も務めている人物だ。
「5月下旬には彼の元を警察庁の国際捜査担当が訪問しており、ガーシー問題について協議していたとされます。実際、ICPOは前後して、国際手配を『青手配』から『赤手配』に切り替えている。ただ赤手配に切り替えても、容疑者を見つけた外国の警察が逮捕する義務はない。それでもライシ氏の強い意向もあって、UAEが協力姿勢に転じ、逮捕に繋がったとも指摘されています」(同前)
今後の捜査はどうなるか。
「警視庁は、一般的に暴力団などに適用される常習的脅迫(3カ月以上5年以下の懲役)での起訴を目指している。UAE逃亡中も“切り抜き動画”の配信などで多大な収益を得ていた疑いがあり、情状面では不利だ。犯意を否認しており、実刑の可能性も残されている」(司法関係者)
ルパンのようには逃げ切れなかった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月22日号)